名のない雪うさぎ


凍った時間…。
壊された雪うさぎ…。
名前もつけられる事なく…。


約束の時間。
雪が降っていた。
真っ白な雪が舞い降りる中、あの人はベンチに座っていた。
あの時と変わらず…。
私は、そんなあの人に声をかける事ができなかった。
…帰ってこない手紙の返事。それは、心が凍るほどの悲しみ。
だから…。
私には、そんなあの人を見つめる事しか出来なかった。
私の想いも7年前に凍ったままだったから…。
刻々と時を刻む腕時計。
あの人の姿が白く霞んでいく。
私はあの人の側にいる事が出来るの?
…雪うさぎが目に浮かぶ。
無惨な姿に壊されたあの雪うさぎが。
…じゃあ、忘れる?この想いを?
深い雪の中に…溶けることないように凍らせたまま…。
最後に…。
最後に一つだけの賭け…。
もし…。
もし、あの人が…。
そうしたら、私は想い続ける。
この変わらぬ想いを。

そして、私はあの人のもとへと走り寄る。



「わたしの名前、まだ覚えてる?」






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