つっぱりみゅ〜っ!!
「みゅ〜っ♪」
椎名家。
そこには、楽しそうにみゅ〜と遊ぶ繭の姿があった。
普段は他人に心を開かない繭であったが、唯一、みゅ〜にだけは本当の笑顔を見せていた…。
「わあっ♪よく似合うよ〜っ!あははは〜〜〜っ!!」
繭は縁側で、父親がその昔愛用した、端がつり上がったサングラスをみゅ〜にかけて遊んでいた。
ちなみに服装は体操服にブルマー。
汚れてもいいようにとの母の配慮であった。他意はない。
「…そうかい?ベイビーっ!!」
「……………ほえ?」
突然聞こえた声にきょとんとする繭。
「どうしたんだい、ヌルい顔しちまって。いつもの素敵な笑顔を見せてくれよっ!!」
「………」
繭は、思わず言葉をなくしてしまった。
当然だろう。
目の前にいるのはフェレットであるみゅ〜だけ。周りには誰もいない。
どう考えても、みゅ〜が突然話しかけてきたとしか考えられない。
…この突然の事態。
世間一般的にはよくあることかも知れないが、繭にとっては初めてのこと。
繭はどうしたらいいか悩んでしまった。
「う〜〜〜ん……?」
だが、その時。
「説明しようっ!!」
200o望遠の一眼レフカメラを持った一人の男が庭の茂みから現れた。
住井だ。
「みゅ〜は、普段はだたの凶暴なフェレットだが、つっぱりグラサンをかけると知能が上がり、話せる凶暴なフェレットとなるのだっ!!」
住井は声高らかにそう言い放つと、ガサゴソと茂みに戻っていった。
…説明ご苦労。やっぱり住井はいい奴である。
「さ〜あてっ!!来週の…じゃあねえ、今日は夜通しサタデーナイトフィバーだぜっ!!」
住井の説明が終わると、みゅ〜はいきなり腰をクネクネさせ、踊り出した。
ちなみに、今日は日曜日である。所詮はフェレットだ。
しかし、住井の説明が終わるまで待っていた辺りに、みゅ〜の礼儀正しさが伺える。
「それとも俺とイイコトして遊ぶかい?」
腰をクネクネさせながら、ニヒルな笑顔を浮かべ、フサフサお手てを繭の顎にあてるみゅ〜。
「ほえ?」
果たして、繭は浩平の毒牙にかかる前にみゅ〜の毒牙にかかってしまうのかっ!?
そして、他のキャラの出番はっ!!
待てっ!次回っ!!つきましては前向きに検討したい次第でありますっ!!
つづくっ!!
つづきっ!!
つっぱりグラサンをかけることにより話せるようになったみゅ〜。世の中には不思議がいっぱいだ。
だが、知能が上がったみゅ〜は、『ONE』の中で一、二を争う美少女・繭へとその毒牙をのばすっ!!果たして、繭の運命はっ!!
つづくっ!!
……………駄目?
じゃ、じゃあ、本編ですっ!!
「それとも俺とイイコトして遊ぶかい?」
腰をクネクネさせながら、ニヒルな笑顔を浮かべ、フサフサお手てを繭の顎にあてるみゅ〜。
「ほえ?」
つっぱりグラサン越しのクールなみゅ〜の視線が、繭のつぶらな瞳の奥を射る。この視線で何匹のフェレットを陥とした事か…。
「うんっ♪遊ぶんだもぉんっ♪」
ガシッ!!
「へ?」
そういうと、繭はみゅ〜の尻尾を持って振り回し始めた。
「ま、待て〜〜〜っ!!」
グルグルと振り回されるみゅ〜。
「みゅ〜っ♪」
繭は楽しそうだ。まるで天使のようである。
スポッ。
「うわわぁ〜〜〜〜っ!!」
ヒュ〜〜〜〜〜ン……………キラ〜〜〜ンッ☆ミ
グルグルと回される繭の手からすっぽ抜けたみゅ〜はお星さまとなった…。
「ほえ?みゅ〜?」
突然、いなくなったみゅ〜を探す繭。なんて優しい子だ。
その頃、みゅ〜はっ!!
「…空を飛ぶ〜♪スパースターが舞い降りる〜〜〜♪」
…歌っていた。結構余裕だ。
ヒュ〜〜〜〜ン………ゴンッ!!
「痛てて…偉い目にあったぜ」
みゅ〜は商店街に頭から着地した。一部地方では落ちたとも言う。
「なにすんのよっ!!」
突然、みゅ〜に声をかけてきたのは、七瀬だった。どうやら、みゅ〜は七瀬の頭の上に落ち…もとい、着地したようだ。
「俺の着地点にいた、あんたが悪いっ!つっぱりをなめんなよっ!!」
きっぱりと言い放つみゅ〜。流石、つっぱりだ。
「ふ…。格好だけのつっぱりが何をいってるんだか…」
「な、なにっ!?」
鼻で笑う七瀬に、熱くなるみゅ〜。
「真のつっぱりとは………こうよっ!!」
ドス、ドス、ドス、ドス………。
「ぐわああああぁぁぁーーーーーっ!!」
みゅ〜は七瀬の怒濤の突っ張りに押されまくった。
「くっ…やるな、ねえちゃんっ!!」
「乙女ならこのぐらい当然よっ!!」
自信たっぷりに言う七瀬。だが、それは『つっぱり』が違うぞ?いや、それ以前に乙女とはなんの関係もない。
「ちっ…仕方ねえ。今日から、師匠と呼ばせて貰うぜっ!!」
「ふふ…。まだまだ荒いけど、あなたのつっぱりには光る物があるわ。せいぜい、精進しなさいよ」
それだけ言うと七瀬は去って行った…。
「あれだけのつっぱりがいるとは……世の中は広いぜ」
ちなみに、みゅ〜の言う世の中とは、椎名家の事である。
「さて。運動したら、腹がへっちまったな。ちょうどいい。ここでワッフルでも食ってくか」
みゅ〜が七瀬に着き押された場所。それは、山葉堂の前だった。無駄のない展開である。
「どきなっ!姉ちゃん達っ!!」
「きゃあああっっ!!」
並んでいる女の子達をフサフサお手てで薙ぎ払うみゅ〜。まさに悪の権化。
「へへっ…。どれにすっかな」
先頭まで割り込みワッフルを品定めするみゅ〜。
「…待ちなさい。…順番は守るものです」
「なにっ!?」
勇敢にもみゅ〜を止める声。
それは…茜だった。いや、びっくり。
「俺様に逆らおうってのか〜?んん〜っ?」
睨みを効かせるみゅ〜。専門用語で言う所の「ガンをくれる」というやつだ。なんて、勉強になるSSだろう。
「やめないと…」
「へへっ…どうしようってんだ、え〜?姉ちゃんよぉ〜っ!?」
「…こうです」
…ポロンッ…。
茜はどこから取り出したか、白いギターをひと弾きした。
その瞬間っ!!
「ぐわああああぁぁぁっ!!」
突然みゅ〜が苦しみだしたっ!!なぜにっ!?
「説明しようっ!!」
山葉堂の店員がマスクを外し、声高らかに叫んだ。
住井だ。
「みゅ〜は、白いギターの音を聞くと、頭が割れるように痛むのだっ!だが、別に改造されている訳ではないっ!!」
住井はそう言い放つと、再びマスクをし、愛想笑いを浮かべながら商品の販売に精をだした。時給は190円だ。
…やっぱり住井はいい奴である。
「ちくしょうっ!!覚えてやがれっ!!」
みゅ〜は名セリフを口にすると、山葉堂を後にした。
「食いっぱぐれちまったぜ…」
むしゃくしゃするみゅ〜の前に、スケッチックを持った澪がにこにこしながら通りかかった。
『なのなの〜♪』
誰にみせるでもなく、スケッチブックにそう書いて持って歩く澪。かなり嬉しそうだ。
手に持った寿司の折り詰めが無関係ではあるまい。
「くっくっくっ……いいカモが歩いてるじゃねえか」
みゅ〜のつっぱりサングラスが妖しく光る。太陽は背中だが。
「おう、おう、姉ちゃんっ!いいもの持ってるじゃねえか」
(びくっ!!)
突然みゅ〜に声をかけられびっくりする澪。
「それは、寿司だな?それをこっちに渡して貰おうじゃねえか」
(ふるふるっ)
『お寿司なんか持ってないの』
必死に誤魔化そうする澪。でも、分かるぞ。普通。
「なに〜?じゃあ、ジャンプして見ろっ!!」
(ぴょんっ)
ジャリン、ジャリ〜〜〜ンッ!!
「持ってんじゃねえかよっ!!」
『ひいいいいぃぃぃーーーなの〜〜〜』
それは寿司ちゃうやろっっ!!
何故かは知らないが、絶体絶命のピンチに陥る澪。
だが。
「待ちなさいっ!!私の澪ちゃんになにするのよっ!!」
愛のお助け天使、詩子の登場だ。
(にこっ)
とたんに澪の顔が明るくなる。まさに地獄に仏。
「こんなこともあろうかと、四六時中、澪ちゃんに付きまとっていたのよっ!!」
(ふるふるっ)
とたんに澪の顔が暗くなる。それはストーカーだぞ。詩子。
「澪ちゃん!待っててね!!今、こいつを始末して、めくるめく官能の世界に連れてってあげるわっ!!」
(えぐ、えぐっ)
…泣いてるぞ?
「俺様抜きに、何、寝言ほざいてやがるんだっ!!そいつの体は俺のもんだぜっ!!」
……寿司は?
まあ、なんにしろ、澪の体を賭けた熱き戦いが、今、始まろうとしていたっ!!
「行くわよっ!!」
「ふっ。来なっ!!」
シュッ。
詩子のジャブ。まずは様子見と言ったところか。
「ぐわああああぁぁぁっ!!」
地平の彼方へと吹っ飛んで行くみゅ〜。
まあ、体重差を考えれば当然である。
「やったわ、澪ちゃんっ!これで、澪ちゃんの体は私のものねっ♪」
喜び勇んで澪を振り返る詩子。
ヒュウウウウゥゥゥ〜〜〜〜〜ッ………。
「……あれ?澪ちゃんは?」
澪は逃げ出していた。…賢明な判断である。
一方、詩子の吹っ飛ばし攻撃を受けたみゅ〜は。
「う〜ん…やはり、いきなりクロスカウンター狙いは甘かったぜ…」
吹っ飛びながら敗因を考えていた。冷静である。
ドンッ。
「え?なんだろ、これ。雪ちゃん」
「フェレットみたいね…」
みゅ〜はたまたま歩いていたみさきの胸に飛び込んでいた。
ちなみに、みさきはバニー姿。雪見に至ってはボンテージ姿だ。なぜか、その姿が目に浮かぶようだ。不思議不思議。
「うわ〜。ふかふかだね♪雪ちゃん」
笑顔を浮かべながらギュッとみゅ〜を抱きしめるみさき。
「おっと。俺に惚れると泣くことになるぜ♪」
とかいいながら、まんざらでもないみゅ〜。ゆったりとみさきの胸でくつろいで余裕の表情だ。
「ほんとに美味しそうだよ♪雪ちゃん」
「っ!!」
とたんに、バタバタと暴れ出すみゅ〜。しかし、みさきの腕が力強くみゅ〜を掴んでいて離さない。
「みさきったら……駄目よ」
仕方ないわねっと言った表情でみさきをたしなめる雪見。
「ほっ…」
その言葉を聞いて、ようやくみゅ〜もおとなしくなる。
「ちゃんと、締めてからじゃないと危ないじゃない」
「〜〜〜っ!!」
さっきより激しくバタバタと暴れ出すみゅ〜。
そのかいあってか、みさきの腕をするりと抜け、地面に着くなり走り出した。
「ああっ。逃げげちゃうよっ!!」
「もったいなかったわね。みさき」
追っ手がかかる雰囲気ではなかった。
しかし、みゅ〜は必死に逃げた。まあ、食われそうになれば普通はそうだろ。
「はあっ、はあっ、はあっ……都会はおっかねえーな〜…」
もはや、全然つっぱりらしくないみゅ〜だった。
気がつくと、みゅ〜は椎名家の前に来ていた。
「やっぱり、ここが一番だぜっ!!」
みゅ〜は椎名家の門をくぐり、台所へと向かった。
……この後に自分の身に降りかかる運命を知らずに…。
「けっ。しけてやがるな。バターしか入ってねえぜ」
ガサゴソと冷蔵庫の中を漁るみゅ〜。
「…繭?」
そんな物音を聞きつけ、繭の母がやってきた。
「おおっ!!ちょうどいい。いつものやつをやってやるぜっ!!」
みゅ〜はバターを手に繭母のスカートの中へ…。
「きゃっ!!…あんっ……駄目………みゅーちゃん…」
とたんに息が荒くなる繭母。…なんでだろ?
「んんっ…今日は……繭がいるから………駄目よっ…」
しかし、繭母はみゅ〜を引き離そうとしない。いや。むしろ、自分でスカートの裾を持ち上げている。
「へへ…本当に止めて欲しいのかい?ほんとは寂しいんだろっ?」
台所の響く、みゅ〜の舌音。苦しそうな繭母の声。…いや〜、いったい、何をしてるんでしょうね〜?
「…ほえ?おかあさん?」
「っ!!ま、繭っ!?」
台所の物音を聞き、現れた繭。
慌てたた繭母は、みゅ〜を引き離しにかかるが、みゅ〜は簡単に離れない。
繭母は思わず、近くにあった包丁を手に…。
ザスッ!!
「っ!!」
苦悶の表情に歪むみゅ〜。そして、その腹の部分には深々と包丁が刺さっていた…。
「なっ……なんじゃこりゃああぁ〜〜〜っ!?」
カランッ。
みゅ〜の顔から、つっぱりグラサンが落ちる。
「…ミュー…」
力無いみゅ〜の言葉。……最後の。
ガクッ。
「みゅ〜?…みゅーっ!!」
泣きながら、みゅ〜にすがりつく繭。
「おかあさん、みゅ〜が……みゅ〜がぁーーーっ!!」
つぶらな目に涙をたたえ、母を見つめる繭。
繭には何が起きているのか分からなかった。
「繭……生き物にはね……『寿命』というものがあるのよ…」
チラチラとみゅ〜の腹から出てる包丁に目をやりながら、そう説明する繭母。
「うっ……うぐっ……うわああああぁぁぁ〜〜〜んっ!!」
みゅ〜は死んだ。
しかし、それは繭の新たな成長への第一歩。
この後、繭は浩平と瑞佳に出会う…。
そして、物語は紡がれる…。
嗚呼!なんて、いいお話なんでしょうっ!!
おしまい。(爆)
みゅ〜「けっ!つまんねえSSだったぜっ!!」
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