ああ、絶景かな。


「お金大好き」
 くるりと背中を向けた。
「待って」
 スタスタスタ……。
 そのまま歩き出す。もちろんかなりのスピードで。
「がーんっ、どうしよーっ、あの人に水着盗まれちゃった!」
「やめんかぁぁっっ!!」
「ぐふっ!」
 それより速いスピードで一気に踵を返すと、大声で不用意な言葉を発している人物に地獄突きを入れた。
「お、お兄ちゃん酷い……」
「誰がお兄ちゃんだ、誰が!」
「ふぅ〜ん……姉さんとは遊びだったんだ?」
「うっ……」
「身体だけが目的だったと」
「……」
「そういえば結婚するって話は聞かないにゃー」
「…………」
 いじめだ。
「……俺が悪かった」
「おほほ」
 どうあがいても景には勝てないらしい。
 最近の景は明るい。
 以前からだという気がしないでもないが、以前の無駄に明るい感じとはちょっと違う。
 なんだかんだ言って、頻繁に準と会ってるせいかもしれない。
 施設はなくなり、高屋敷の家も燃えたけど……結果的には良かったんだ、と思えるような笑顔だった。
「しかし……。どうしたんだ、その髪?」
「切ったの」
「……見ればわかる」
 その理由を聞いてるんだ。
 道端で偶然出会った景は、バッサリと髪を切っていた。
 ほとんど準と変わらない。
 というより、そっくり。黙ってさえいれば。
「あなたに捨てられたから」
「………」
 付き合った覚えはなかった。
「身も心も全て捧げたのに……お金がなくなったら二秒でゴミ」
「…………」
 俺は酷い男らしい。
 というか、真純さんの顔が浮かぶのは何故だろう?
「あっ……!」
「?」
 突然、景が俺の背後を見て驚いたような声をあげた。
 何事かと思って、振り返って見る。
「………………え?」
 そして、俺はそのまま固まってしまった。
「あ。さーむらくんだ!」
「お兄ちゃ〜ん♪」
 そこには、仲良く手を繋いで歩く景と小夜ちゃんの姿が………。
「…………あ、あれ?」
 もう一度振り返ってみる。
「…………」
 誰もいなかった。
 …………。
 ………。
 ……。










「……俺の知ってる準はそんなおちゃめな性格じゃなかった……」








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