折原少年の事件簿415(その1)


その日、沢口は茜の机の上にうつぶせになって息絶えていた。
本来なら放って置いて当然だが、誰も死体を片づけたがらない。
困った茜から「…犯人に片づけさせましょう」という依頼を受けたオレは、休み時間に助手の椎名とともに調査へと乗り出した。


浩 平「う〜ん…気が進まないな…」
沢口の死体をの前で、腕組みをして唸る浩平。
椎 名「はえ?(確かにその通りだわ。でも、ひとつだけ忠告。嫌いな物は先に片づけておいた方がいいわよ?)」
浩 平「それもそうだな。じゃあ、死因からだ」
沢口の死体には誰も触れていないので、まだ死因は分かっていない。
浩平は無造作に、沢口の髪を掴んで顔を持ち上げた。
ぐいっ。
沢 口「…うっ…」
浩 平「即死のようだな」
椎 名「みゅ〜(確かにそのようね)」
そして、髪を掴んだまま、沢口の体を後ろに引き倒す。
がんっ!
沢 口「がはっ!!」
その際、沢口の後頭部が机の角に当たる。
浩 平「後頭部に外傷があるが、そのほかは無傷のようだ」
椎 名「はえ〜(見たところ、後頭部の傷は死因とは直接関係ないようね)」
だがその時、助手の椎名の鋭い目に、ひとつの事実がとまった。
椎 名「ほえ?(ちょっと、まって。これはなにかしら?)」
椎名が指さしたのは茜の机の上だった。
一見、何の変哲もない机。
だが、よく見ると、その机にはなにやら文字が書かれていた。
浩 平「こっ、これはっ!!」
その事実の前の思わず興奮する浩平。
浩平「もしや、これが…シリーズ415回目にして初めてお目にかかる『ダイイングメッセージ』なのかっ!?」
あまりの出来事に、浩平は涙を流して喜んでいる。
浩 平「ううっ…眼鏡が曇ってなんにも見えないぞ…」
しかし、浩平は眼鏡を掛けていなかった。
浩 平「長い道のりだった…探偵物には必ずと言っていいほど出てくるはずなに…」
浩平は体の奥底からわき上がる感動を押さえつつ、そのメッセージを読んだ。
浩 平「え〜と、なになに…『おれは、みな…』って、まずいっ!!消すんだ、椎名っ!!」
椎 名「みゅ〜っ♪(わかったわ♪)」
慌てて、机の上に書かれていたダイイングメッセージを消す、浩平と椎名。
なにやら、非常にまずい出来事が書かれていたようだ。
浩 平「ふう…危なかった。………やはり、自殺だな」
椎 名「みゅ〜(そのようね。自殺ね)」


『折原少年の事件簿415』完っ!!


と思われたが。
詩 子「それじゃ、死体を片づける人がいなくて困るでしょ」
浩 平「いや。これが一番だと思うが…って、何故ここにいるっ!」
詩 子「茜に言われて、手伝いに来たの」
突然現れた詩子に、露骨に嫌そうな顔をする浩平。
詩 子「この、しいこさんが協力して上げるから、大船に乗ったつもりで安心して♪」
浩 平「絶対に拒否するっっ!!」
詩 子「ええっ、どうしてよっ?」
浩 平「俺には椎名という、純情可憐にして有能な助手が既にいるのだっ!!お前の出番などないっ!!」
力の限り詩子を拒否する浩平。なにか、気に入らない事があるらしい。
だが、詩子は不敵に笑うと、ポケットからから1枚の紙を取り出し、椎名に差し出した。
詩 子「繭ちゃん〜…これで好きなだけハンバーガー買ってきていいよ〜♪」
詩子が出したのは、千円札だった。
椎 名「みゅ、みゅ〜っ!?ハンバーガー〜〜〜っ♪」
ぱしっ。
だだだだだっ……。
椎名は、詩子からお金を受け取ると、教室を後にした。
浩 平「……」
詩 子「で。どこにいるの?その有能な助手は?」
詩子は浩平を見て笑った。


浩平「ううっ……椎名ぁぁぁ〜〜〜っ……ぐすっ」






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