肺の小部屋
<肺の構造>
肺の働きは,酸素を血液に取り込み二酸化炭素を外へ出すことです。

肺は,心臓を取り囲むように右と左の2つ肺があります。しかし,構成は少し違います。
右の肺は上葉,中葉,下葉と呼ばれる3つ部分に分かれますが,左の肺は中葉はなく上葉,下葉の2つしかありません。
肺は胸膜という膜に囲まれていて,胸壁との間に隙間があります。この胸壁と肺との空間を胸腔と言います。
胸腔には,少しの胸膜液があり呼吸運動で肺がなめらかに動く役目を果たしています。ただし,この空間は普通では胸部写真などには写りません。
この空間に異常な水が貯まると胸水として写真に写ります。
1.呼吸運動と肺機能検査
肺は肋骨に囲まれた胸郭の中にあります。そして,肋間筋,横隔膜などの働きにより肺が膨らんだりしぼんだりすることで換気します。
呼吸は意識しなくても自然にしています。これは,呼吸中枢が,血液中の酸素,二酸化炭素量および血液のpH(アルカリ性の程度)を感じ取り自動的に
呼吸を制御しているためです。
肺機能検査の指標には色々ありますが,代表的な2つの指標を紹介します。
<肺活量と拘束性換気障害>
肺の働きを見るのに肺活量があります。肺活量とは,思いっきり吸い込んで総てをはきだした時の容量を言います。標準的な肺活量は性別,年齢,身長により異なります。18才以上であれば次の式で計算します。
男性:(27.63−0.112×年齢)×身長(cm) 女性:(21.78−0.101×年齢)×身長(cm)
標準の肺活量に対する実際の肺活量の割合を肺活量比(%VC)と言い,肺機能の指標とします。標準の80%以上あれば正常です。
この肺活量比(%VC)の異常を拘束性換気障害と言います。
拘束性換気障害は,1)間質性肺炎,肺線維症,無気肺などの肺自体の病気,2)何らかの原因で胸郭や横隔膜の運動制限が生じる時になります。
<努力性肺活量と閉塞性換気障害>
肺機能のもうひとつの指標が1秒率です。健診を受けた事があると分かるとと思いますが,肺機能検査の時2回測定します。「大きく吸って,おもいっきり一気に出して下さい」と言われて検査した事があるはずです。
普通の肺活量はゆっくり吐き出します。1秒率を求める時の肺活量は,努力性肺活量と言って一気にどれだけの量はきだせるか調べます。一気にはきだした時の努力性肺活量に対する1秒量(最初の1秒間ではきだした量)の割合を1秒率と
言います。70%以上が正常ですが,この1秒率が低下してる場合は,閉塞性換気障害と言います。
閉塞性換気障害は,気管支喘息,肺気腫などがあります。気管支喘息は気管支が狭くなるため,一気にはきだせないため1秒率が低下します。
2.気管支、肺胞

肺には,気管支という管があります。空気の通り道で気管,主気管支,葉気管支と枝分かれして次第に細くなり,最後は肺胞と呼ばれるブドウの房状のものになります。
ガス交換がおこなわれる場所は,最後の肺胞です。
気管支には,輪状の軟骨と平滑筋に取り囲まれた管です。表面は粘膜で被われていて線毛のある線毛細胞があります。気管支からは気管支腺から粘液が1日100mlぐらい分泌されますが,
1分間1500回という線毛運動により,粘液は口の方へ送り出されます。
気管支の粘液の役目は,
1)ホコリや細菌などが肺胞に達する前に吸着して排出する。
2)吸入した空気適度の湿度を与えて温度調節する。
働きがあります。
<急性気管支炎>
気管,気管支の粘膜の急性の炎症を急性気管支炎と言います。細菌,ウイルスなどが原因でおこります。
<慢性気管支炎>
気管支の慢性の炎症がある場合は,慢性気管支炎と言います。喫煙や大気汚染の長期的刺激が反復的に気管支の炎症を起こしたため,気管支壁が変化して咳,痰が持続的にみられます。
3.血管
肺の働きはガス交換することです。全身を回って返ってきた静脈血は右心房に右心室を経て肺動脈,肺小動脈,肺毛細血管,となります。ガス交換して動脈血となって肺小静脈,肺静脈へ経て左心房に返ってきて左心室が全身に送り出されます。
肺胞の周囲には,肺毛細血管があり血液から二酸化炭素が肺胞に,肺胞から酸素が血液中にとけ込んでいきます。そして静脈血は酸素の豊富な動脈血となって心臓に返っていきます。
診察室の各部屋