肺の小部屋

<かぜ症候群とは?>

かぜ症候群とは,くしゃみ,鼻水,喉の痛み,咳,痰と呼吸器の症状とともに発熱,頭痛,全身倦怠感など全身症状 伴う呼吸器の急性炎症です。時には,下痢,腹痛の消化器症状を伴うこともあります。ウイルスが原因でおこる病気です。なかでも, インフルエンザは,感染力も強く,また高熱がでて重症になる場合があり注意が必要です。

1.かぜの予防と養生

かぜは,注射1本で治る病気ではなく,自然に治るのを待つしかありません。 薬もかぜを治すものではなく,対症療法と言って咳が強ければせき止め,鼻水がでれば鼻水を抑える薬と 症状を和らげるものです。そして自己の治癒力がかぜを治します。自己の治癒力を高めるように養生する必要があります。

(1)かぜの予防
1.手洗い
2.うがい
3.マスク
  感染予防の効果はありませんが,吸う息が加湿され喉の乾燥を防ぎます。
4.部屋の乾燥防止
  部屋が乾燥していれば感染しやすくなります。
5.君子危うきに近寄らず
  インフルエンザの季節は,人混みに出ないことです。
6.予防接種
  インフルエンザの予防には,予防接種が一番です。
7.日頃の養生
  かぜは,体の抵抗力が低下した時にかかりやすいです。睡眠不足,過労など避けましょう。

(2)かぜの養生
1.安静
2.睡眠
3.水分摂取
  高熱が続くと食欲もなくなり,脱水になることがあります。特に,小児,老人は注意が必要です。
4.部屋の加温,加湿
5.食事
  消化が良くて,温かく水分の多いもの(例えばうどん,野菜スープ)
  脂っこいものは避ける
6.入浴
  熱があったり,体力の消耗した時は,避けた方がいいです。そうでなければ,湯冷めしないような入り方であれば,入浴してもいいです。

2.かぜの注意事項

(1)発熱
  発熱は体の防御反応です。「発熱は悪いものだから,熱をさげればよくなるのだ」という考えは間違いです。
発熱は,体温を上げてウイルスの増殖を抑える作用があります。体は,防御反応として発熱しているのです。ですからむやみに解熱剤を 使うことはかぜの治りを悪くする可能性があります。ただし,高熱が続き,食欲がないとか体力の消耗が激しいとかの場合は,解熱剤を使い 体力の消耗を防いだり,食欲不振による脱水を予防する必要があります。
(2)脱水
小児や高齢者では,発熱などにより脱水になりやすいので注意が必要です。脱水にならないように十分な水分補給するようにして下さい。 特に,尿量が極端に減少すれば脱水が強い可能性がありますので尿量には注意して下さい。
(3)合併症
かぜに合併して,肺炎,脳炎,髄膜炎などを起こすことがあります。
高熱が続き,咳が強く,黄色いきたない痰がでて,胸部痛がある場合は肺炎の合併した恐れがあります。 また,頭痛がして,頻回に嘔吐するような場合は髄膜炎など合併した可能性があります。

<インフルエンザとは?>

インフルエンザもかぜ症候群のひとつですが,かぜの中でも感染力が強く,高熱が続き,時には肺炎,脳炎を起こして死亡することがあります。 そのため,一般のかぜを普通感冒とよびインフルエンザと区別したりします。
インフルエンザは普通のかぜと違い重症化しますので,単なるかぜと思わない方よいと思います。

1.インフルエンザの種類

インフルエンザは,A型,B型,C型の3型に分類されます。流行を起こすのはA型及びB型です。
さらに,ウイルスはウイルス粒子表面の二種類のスパイク 赤血球凝集素(HAまたはH)とノイラミニダーゼ(N)の 抗原性により分類されます。Hは1から15,Nは1から9の型があります。
例えばソ連型(H1N1),香港型(H3N2)というふうに分類されます。

2.インフルエンザの症状

頭痛,筋肉痛を伴って急激に発熱して38から39度高熱となり,鼻水,咽頭痛,咳,痰と呼吸器症状が出現します。 熱は普通3,4日続きますが,時にはいったん下がって再び上昇するという二峰性の熱型の場合もあります。 AおよびB型インフルエンザは,大体同じ症状ですがA型の方が重症化する傾向が認められます。
インフルエンザの確定診断にはウイルスの分離と血液学的診断が必要です。しかし、これには時間がかかります。 最近は、インフルエンザ迅速診断キットあり、簡単に診断できるようになってきました。
症状より普通感冒なのかインフルエンザなのか明確に診断する事は難しいことですが,一般的にはインフルエンザ流行時に高熱で全身症状を伴う かぜをインフルエンザと診断しています。

3.インフルエンザの予防接種

(1)予防接種の必要性
「はしか(麻疹)」や「水ぼうそう(水痘)」もウイルスが原因でおこる病気です。しかし,これらは一度感染すると抗体ができて2度感染することは ありません。しかし,インフルエンザは,同じウイルスでも,毎年かかることがあります。これは,インフルエンザウイルスが変異するためです。 ウイルスの形が変わるため,以前にかかったできた抗体が役にたたないからです。小さな変異では,少し抗体が役立ちますが,大きな変異では, まったく役に立たないことになります。
予防接種は,接種したワクチンのウイルスの型と流行したインフルエンザの型が一致すれば効果があります。まるきり違う型のインフルエンザが流行した時は 効果は期待できませんが,ワクチンには数種類の株が含まれていて,それほど大きくはずれることはありません。
インフルエンザワクチンの予防効果は40%から70%といわれています。また、インフルエンザにかかっても重症化しない効果があります。
重篤な合併症を起こす可能性のある老人、小児は予防接種すべきです。

アメリカの予防接種諮問委員会は、ハイリスクグループでは重篤になる場合があるので、強く予防接種することを勧めています。
また、ハイリスクグループに接触する人も、予防接種を勧めています。
<ハイリスクグループ>
1.65歳以上の高齢者。
2.老人ホームなど入所者。
3.喘息などの肺疾患の病気、心臓の病気の人。
4.糖尿病、腎不全の病気の人。
5.アスピリン治療を受けてる生後6ケ月から18歳の人。
健康な成人であれば、インフルエンザにかかっても重篤な合併症を起こすことはありませんが、受験生の場合は 受験試験の時インフルエンザに罹患すると事をさけるため予防接種する事も考える必要があります。
(2)インフルエンザワクチン
1.インフルエンザの流行予測
インフルエンザウイルスは変異するため,流行するウイルスのタイプを予測する必要があります。 この予想したワクチン株と流行株が一致すれば予防効果が期待できます。予測には,前シーズンの流行ウイルス ,中国のインフルエンザ情報,そして日本の春から初夏にかけて発生するインフルエンザ状況を判断して決められます。 春から初夏にかけて発生するインフルエンザが,次に流行すると言われています。

(1997−1998シーズン)のインフルエンザワクチン株
ウイルス型ウイルス株
Aソ連型A/北京/
A香港型A/武漢/
B型  B/三重/
    B/広東/

2.予防接種の時期
予防接種は,本格的に流行する冬の前,11月頃までに済ませておく必要があります。 成人は1回接種でも効果ありますが、小児は1から4週間の間隔をおいて2回接種する必要があります。
ただし、たまごアレルギーがある場合は接種できません。

4.インフルエンザの治療

インフルエンザの治療は,これまで対症療法のみでしたが,1998年よりシンメトリルがA型インフルエンザに対する 適応が認められるようになりました。1999年にはリレンザ、2000年にはタミフルが抗インフルエンザ薬として 承認され発売されました。
(1)対症療法
かぜ症候群と同じ治療ですが,重症化しやすいので,症状の変化に注意する必要があります。
(2)抗インフルエンザ薬
発症48時間以内に服用する必要があります。
1.シンメトリル
シンメトリルは,1959年アメリカで抗A型インフルエンザ薬と開発された薬ですが,日本ではパーキンソン病の 治療薬としてしか許可されていませんでした。しかし,1998年にA型インフルエンザの治療として許可されました。
A型インフルエンザの発症防止,重症化防止に有効ですがB型インフルエンザには効果ありません。 ただし,ウイルスが耐性化しやすいという問題もあり,予防のための長期服用を続ける事は避けなければいけません。
2.リレンザ
A型およびB型インフルエンザに有効な薬な吸入する薬です。
3.タミフル
A型およびB型インフルエンザに有効な薬な内服薬です。
(3)解熱剤
強い解熱剤を使用した小児に、脳炎の合併が多いとのことで一部解熱剤が小児にはH13年使用禁忌になりました。
小児に解熱剤を使用とするとすればアセトアミノフェン(ピリナジン、カロナール、アンヒバ坐薬等)を使うことです。



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