酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリン
酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリンは、脳にある視床下部に作用する「GnRH作動薬」で、鼻から吸入するホルモンの点鼻薬です。これらのくすりは、胃から吸収されないために、のまずに鼻の粘膜から吸収させます。鼻の粘膜にはたくさんの毛細血管が走っているため、鼻腔内に噴霧したくすりは、粘膜からすばやく血管内に吸収され、体内にゆきわたります。GnRH作動薬は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑え、人工的に月経を止めて閉経状態にします。月経を止めることで腹腔内に異常発生した子宮内膜の増殖や出血を止めて、病巣部を小さくし強い痛みなどの症状をやわらげます。酢酸ナファレリンは酢酸ブセレリンにくらべて体内での効果が長く持続し、また鼻の粘膜からの吸収がよいため、点鼻は一日二回、左右いずれか一方でよいことが特徴です。
●副作用は、酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリンはダナゾールよりも女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑える作用が強いため、ほてり、肩こり、頭痛、不眠、膣の乾燥感など更年期障害に似た症状があらわれやすいのが特徴です。そのほか、不正出血、体重増加、肝機能障害、倦怠感などがみられることがあります。酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリンは、一時的に月経を止めるくすりですが、使いはじめて約1〜2ヶ月は、人によっては月経のような出血や少量の不正出血がみられることがあります。これは、使いはじめて約二週間は、脳にある下垂体が刺激され女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が一時的に増加するためです。使用をつづけると女性ホルモンの分泌が閉経状態のように少なくなり、月経が止まります。出血がはじまったと思って、途中でくすりを中止してはいけません。不安に思ったときは、自己判断で中止しないで医師、薬剤師に相談しましょう。
●使用上の注意として、酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリンは医師が指示した使用開始日から使いはじめましょう。使いはじめが遅れると、くすりの効きめがあらわれにくくなります。くすりを使いはじめたら、経口避妊薬(ピル)以外の方法で避妊しましょう。
●使用量を減らして半年以上使う低用量長期治療もあります。副作用をできるだけ減らし、「病気の時間をある程度止める期間」をできるだけ延ばそうというものです。ただ、まだ確立された治療法ではなく、実際に患者が使いながらデータを積み重ねている臨床研究段階です。
・注射タイプは、注射の間隔を通常の四週間ではなく5〜10週間くらいまで遅らせていく方法が発表されました。
・点鼻スプレーでは、噴霧する回数を少し減らして、二週間分を三週間ほど使う方法があり、多くの病院で行われています(二週間を過ぎると腐るわけではないが、鼻は雑菌が多いので、噴霧器の清潔に気をつけよう)。
ただし、かなりの割合で不正出血(この不正出血は子宮内膜の反応によるもの。病気や異常ではないとの見方)が起こり、排卵の可能性もあります。血液検査で血中エストロゲンをはかり、あまりに高すぎる場合は使用量を増やします。
●GnRHアゴニストの副作用を減らすもうひとつの方法に、アドバックがあります。とくに強いGnRHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリン)の場合、エストロゲンがあまりに下がりすぎることで骨量減少や更年期様症状が強く出ます。そこで、別のエストロゲン製剤(プレマリン錠、貼り薬のエストラダームTTSなど)を使ってエストロゲン濃度を押し上げてやるのです(もちろん血中エストロゲンを測定しながら進める)。さらにプロゲストーゲン(プロベラなど)を足す場合もあるそうです。
アドバックをすれば、これら二つの薬も半年以上使えると言われていますが、通常量で1クール治療するときでも、アメリカではアドバックするそうです。ただし、足したエストロゲン濃度が上がりすぎると、病巣発達にかかわる可能性もなくはありません。また、スプレキュアやナサニールでも、アドバックを上手にすることで、長期使用ができるかもしれません。
いずれもまだ研究段階です。係り付けの医師によく相談して決め、行ないましょう。
<強い薬物治療の副作用の例>薬によってパーセンテージはかなり違ってきます。
・血栓症 ・うつ ・骨量低下 ・吐き気 ・腰痛 ・お腹がはる ・食欲減退 ・食欲亢進
・便秘 ・下痢 ・口内炎 ・肩こり ・関節炎 ・筋肉痛 ・腰痛 ・首や背中の痛み ・骨の痛み
・しびれ ・頭痛 ・神経過敏 ・倦怠感 ・情緒不安定 ・耳なり ・めまい、立ちくらみ ・眠気
・不眠 ・発疹 ・声がれ ・多毛 ・脱毛 ・体重増加 ・体重減少 ・ニキビ ・不正出血
・おりもの ・乳房痛 ・ほてり ・発汗、多汗 ・冷感 ・乾燥感 ・かゆみ ・膣乾燥
・性欲減退 ・性欲亢進 ・眼精疲労 ・視覚、味覚、嗅覚異常 ・動悸 ・頻尿
・肝機能値異常 ・コレステロール値上昇 ・血圧上昇 ・貧血 ・注射部位の痛み
・卵巣過敏刺激症候群 ・その他
(本よりの抜粋)
くすりの事典2001年版 ■適応症 ●子宮内膜症 ●子宮筋腫(筋腫
の縮小および過多月経・下腹部痛・腰痛・貧血の
改善) ●中枢性思春期早発症
作用と特徴 内分泌器官の活動をコン
トロールしている脳の下垂体に働いて
黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモン
の分泌を抑え、卵巣の機能を抑制します。
これによって、子宮内膜組織の増殖が
抑えられるため、子宮内膜症が改善され
ます。中枢性思春期早発症や、子宮筋
腫の縮小および諸症状の改善にも用い
られます。
使用上の注意 子宮内膜症と子宮
筋腫は月経の1〜2日めから1日3回、
左右の鼻腔内に1回ずつ噴霧します。
薬の吸収をよくするため、鼻をかんでか
ら噴霧するとよいでしょう。長期連用す
ると骨量が低下することがあるので、原
則的に6ヵ月以上は連用されません。
薬の使用が禁止されている人
診断のつかない異常性器出血のある
人、本剤で過敏症をおこしたことがある
人、妊婦、授乳婦などは使用できませ
ん。
使用に注意が必要な人 肝障害、
うつ病・うつ状態またはそれらの既往歴、
粘膜下筋腫、高血圧症、糖尿病、脳血
管障害またはその既往歴、冠動脈疾
患またはその既往歴のある人も使用
にあたっては注意が必要なので、医師
または薬剤師に相談してください。日常での注意 治療中は避妊を
おこなってください。
副作用 ほてり、肩こり、不正出血、
頭痛、にきび、過敏症(発疹、湿疹、
じんま疹など)、吐き気、嘔吐、腹痛、
腹部膨満感、食欲減退、下痢、関節
痛、腰痛、めまい、多汗、神経過敏、
傾眠、不眠、しびれ感、動悸、むくみ、
鼻炎、体重の増加、疲労、倦怠、耳
鳴り、膣炎、眼精疲労、皮膚の乾燥、
食欲亢進、四肢の冷感、咳などがお
こったり、うつ症状が現れることがあ
ります。
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