GnRH作動薬(アゴニスト)
GnRH作動薬(アゴニスト)とは脳の一部であり視床下部から分泌されるGnRHというホルモンのはたらきを非常に強力にしたものです。
GnRHは、通常は脳下垂体からゴナドトロピン(LHやFSH)といわれるホルモンの分泌を促します。LHやFSHは卵巣にはたらいて、卵の成熟を促進し、そのため女性ホルモンの分泌が高まります。
このようなGnRHのゴナドトロピン分泌促進作用は、適当な量のGnRHが一定のサイクルで分泌されることにより維持されているのです。ところが、治療でGnRHアゴニストを投与すると、つねに大量のGnRHが存在している状態になります。このような状態になると、脳下垂体からのゴナドトロピンの分泌はむしろ抑えられてしまいます。その結果、卵巣からの女性ホルモンの分泌も抑えられ、女性ホルモンに影響される子宮内膜症の増殖が抑えられるのです。
●スプレキュア療法の治療成績は、ダナゾール療法のそれとほぼ同じです。腹膜面にできた小さな子宮内膜症には非常によく効きます。下腹部痛や性交痛といった症状もずいぶん軽くなります。しかし、直径1cm以上の卵巣チョコレート嚢腫や骨盤内臓器の癒着に対する効果はあまりありません。
●治療成績を上げるには、つねに一定量異常のGnRHが存在している状態を維持することが重要です。そのためには、できるだけ8時間ごとにスプレーするよう心がけてください。スプレーとスプレーの間隔があきすぎると、一定量以上のGnRH濃度が保てなくなり、予期しているようなゴナドトロピン分泌の抑制がおこりません。そうなると女性ホルモンの低下もおこらず、子宮内膜症も治療できません。
もう一つ注意すべき点は、鼻の穴にスプレーしたくすりが効率よく吸収されているかどうかという点です。スプレキュアは鼻の粘膜から吸収されるので、鼻や粘膜の状態によっては吸収効率が変化する可能性があります。たとえば、鼻がつまっているとくすりは粘膜にとどかず、当然吸収されません。また、花粉アレルギーなどで鼻汁がどんどんでている状態では、くすりは鼻汁といっしょに流れでてしまいます。したがって、スプレーする前によく鼻をかんで、鼻のとおりをよくしておくなどの注意が必要です。また、スプレーしたくすりが流れでないように、しばらく斜め上を向いておく注意も必要です。
●リュープリンもGnRHアゴニストの一種です。その作用のしかたなどは、スプレキュアと同じです。リュープリンは一ヶ月に一回の割合で皮下に注射します。最近ではスプレキュアの皮下注射もできました。
スプレキュア点鼻薬の場合、スプレーの間隔があきすぎたり、鼻の粘膜の状態が変化したりした場合、予期した効果が得られない可能性があります(エスケープ現象)。これに対して、注射タイプは比較的確実に効果が予測できます。エスケープ現象がおこることはまずありません。(ただし注射部位をもまないこと。徐々にそこから分泌されていく必要があるため)
●治療効果がより確実であるということは、低エストロゲン状態にともなう副作用がよりあらわれやすく、その程度もより強いということを示しています。副作用が非常に強くでてしまい治療を中断せざるをえない場合には、点鼻薬の場合は、スプレーを中止すればただちに治療を中断することができます。しかし、注射タイプはいったん注射してしまうと、その効果は一ヶ月間持続するため、ただちに治療を中断することはできません。そこで、非常に強い副作用がでたようなときには、ごく少量のエストロゲンを補充します。エストロゲンをほんの少しだけ追加すれば、副作用はずいぶん軽くなります。
●注射タイプは、一ヶ月に一回の注射なので、ついうっかりとスプレーを忘れてしまうようなことはありません。特に、仕事をもっている女性には一ヶ月に一回病院に行くだけでよいので、大きなメリットだと思います。ただし、一ヶ月のくすり代はずいぶんちがいます。スプレキュア(点鼻薬)のくすり代は一ヶ月3万6400円ですが、リュープリンは7万5080縁です。どちらのくすりにも当然健康保険が適用されますので、くすり代の1〜3割を支払うことになります。
(本よりの抜粋)
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