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日本農業新聞掲載記事
〔新むらおこし〕 下湯口農業経営塾、青森県弘前市
96.09.07 10面(全1049字)
青森県弘前市、岩木山東ろくのなだらかな丘陵地帯に、一面のリンゴ畑が広がる。
全国有数のリンゴ産地として自他共に認める地域。だが、リンゴ農家の現実派厳しい。
自分たちの農業をあらためて見つめ、新たな経営を組み立てていこうと活動を開始したのが、下湯口農業経営塾の十七人だ。
地元の農家が“世界一”と自負する産地でも、外国産の輸入や過当競争による価格破壊の風は容赦なく吹き付ける。
「一人で管理できる六十アールの販売収入が平均三百万円。これから資材や農機などの経費と税金を差し引いたらどうれほども残らない。農業だけでは生活できないのが現実」と経営塾の会長、平井秀樹さん(三五)。
「今態勢を立て直さないと将来はない」と、昨年四月、二十〜三十代の基幹農家を中心に塾を結成した。
月一回、経営コンサルタントを呼んで経営の基礎から勉強を始めた。まず自分たちの経営の問題点の洗い出しを考えた。
そこで出てきたのは(1)自分たちが販路を持っていない(2)品質を正しく評価してもらうのに必要な消費者とのつながりがない(3)毎日の作業に追われ何かを考える時間が持てない―などだった。
これらはみな、本当以前から分かっていた。「最大の問題は、分かっていたのに行動しなかったこと」だと平井さんは言う。
この四月からは勉強会を二回に増やし、コンサルタント以外に、リンゴの産直で成功している経営者や通販や輸出に取り組んでいる業者、学者などを招き話を聞いた。
リンゴに限らず、畜産でも花でも先進的な経営を肌で習得するため、県内外に出掛けた。
「農家でなく経営者としての感覚を育てなければ」と、塾の結成にかかわり顧問を務める石岡豊さん。そして「今からは生産から販売まで、どれだけの部分を自分たちでできるかだ」と言う。
これらを通して、方向性がだんだん絞られてきた。
この六月、各自の目指す方向によって、二つの研究班を作った。
一つはグリーンツーリズムや観光農園、イベント開催など、心のゆとりを求めていくもの。
もう一つはより実戦的に、観光地での即売や加工、インターネットでの販売を研究しようというもの。
今年はシーズンが押し詰まってきたため、個人研究を宿題に、班活動は中断、本格活動は来年からになる。
「これからは実践しながら考える時期だ」と平井さんは語る。
〈メモ〉
下湯口地区は百九十四戸の内百四十五戸がリンゴ農家というリンゴの専作地帯。
県の品評会では地区として六回の農水大臣賞を受けているトップ産地。
葉取らずリンゴを始めた地区でもある。 |
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