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匂い付きの博物館

 

 人の記憶と言うものは、視覚・聴覚はもちろんだが、  に触発される部分がもっとも大きい。

と、個人的にだが 断言したい。 そう、 におい だ。

 

 ところで、過去の記憶を収蔵・展示する博物館、資料館ではあるが、この 匂い について積極的な展示法を取っている所を私はあまり知らない。というか、ほとんど思い当たらない。

さて、では 匂いの展示はどこまで可能なのか?

 例えば、私の すきなHP「Webやぎの目」のなかの1ページに、「においカミングアウト」と言うのがある。これは、人には言ったことはないけれど、実はアノにおいが好きだ。アレの臭いをかぐとたまんない。でも、秘密にしてる。夜、こっそりとひとりであの臭いをかいでる。などのように、好きなニオイを告白する場である。

 共感出来るもの、出来ないもの。なかにはかなり、マニアックなものもあるが、そこに このあいだ、こんな書き込みがあった。

 

昭和の頃夕方の臭い

 薄っすら暗くなってきて家路につくときに、帰り道々にある家の外で夕飯の仕度の臭 いとか、お風呂を沸かしている臭いを嗅ぐのがたまらなく好きです。(お風呂はオガラ炭とか薪とか、そう言った物に限ります。)
 なんとも切ない気持ちになり、大人になった今では理由も無く泣きたくなってしまいます。 お 風呂の沸かす臭いはめっきり少なくなってきましたが、夕飯の仕度の臭いは自分の晩御飯の参考にさせていただいてます。 でもたまに、何の臭いか解らなくって「聞きこみ」したくなりますが(笑) 煮物系は判別が難しいです(^-^;

27歳 女 会社員

 共感を覚えつつ、読んでてふと 考えた。

 こおゆう におい の展示って できないものだろうか。

 博物館の昭和のコーナーにさしかかったとたん、「あれ? なんだっけ? ほれほれ・・」

と自分自身に問いかけてしまうような、「空気そのものの展示」。

 私は行ったことないけど、ラーメン博物館たらいうもんが関東方面にはある由。

そこでは全国の有名店が実際に動いているのだそうな。もちろん匂いが充満しているわけだ。

実際の生の生活臭。 それも有りだろう。 けど、なんか違う。

 たとえば、匂いの成分を科学的に分析して、香水にしてしまうとか。

で、これが、来館者の移動にあわせて、微量に放出される。

 繁華街の路地の展示では(もし、やるとすればだが)、ゲロや立ち小便など 臭いのワンポイントも欠かせないだろう。

さまざまな匂いが、人が動くたびに そちこちで、シューッ。

もちろん、出しっぱなしではいけない。すかさず換気。跡形もなく消してしまう。

匂いを感じさせるのは一瞬でいいのだ。 追いかけても もう見あたらない。

古い記憶を手繰ろうとする者は、だから 同じ所を何度も行ったり来たり。

うろうろ、うろうろ。         

面白いだろうな。        

 

 コストもえらくかかりそうだけど。

 ところで、先の、27歳 女 会社員さんが探してるのは、家族・家庭の匂いのような気もする。

匂いの感じ方には 個人差も大きいし。 やっぱり、一般的なものにはなりにくいかな。

と いいつつも、最大公約数的な匂いってありそうだな と考えたりもする。

 なんであれ、匂いに身を委ねて記憶の糸を手繰るときのもどかしさ、自分の血肉があからさまに存在表明してるみたいな動物的な感覚は、現代の 匂いがどんどん排除されて行く生活の中にあって、あらためて見直してみる価値があるのではないか

 と 思う一匹の動物が 私。

 

 


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