極めれば至芸。 


売れない報告書は・・・

 

売り子:以下「」)「旦那、これ買って下さい」

サクラ:以下「」)「うん?何だ、こりゃあ。遺跡の発掘調査報告書か」

)「なかなか、いいもんなんです、ええ。一つ買ってくださいな」

)「んなこと言ったって、おめえ こんな露天で報告書買うやつなんていねえぞ、普通。でいち、まっとうな内容かどうかも分かりゃしねえじゃねえか。どうせ、ロクでもねえ奴が作ったもんなんだろ?」

)「そんなこたぁありません、へぇ。ちゃんとしたもんです。なにしろ××遺跡の発掘調査報告書なんすから.........」

)「××遺跡発掘調査報告書?××遺跡発掘調査報告書といやぁまあ名の通ったもんじゃねえか。(手にとってみる)おい、いい加減なことぉ言うなよ。どこにも××発掘調査報告書なんて名ア入ってやしねぇじゃねえか。しかも、奥付も考察も無いときてる。んな分かりやすい嘘をつくバカがあるか。」

)「訳あって名前は入ってませんが、それは××遺跡発掘調査報告書なんです」

)「訳あってったって、はいそうですかこれは××遺跡発掘調査報告書ですかって納得するわけねえだろう。その訳を言ってみろよ、訳を」

)「訳あって訳は話せないんですけど、でも本当に××遺跡発掘調査報告書なんすよ。」

)「いいや、信用ならねぇ」

)「............これは言っちゃいけないことなんすが.....。ま言っちゃいやしょう。実は、私この間まで××遺跡発掘調査団に籍を置いていやした。ところが、この不景気でお決まりの首切り通達。調査は次年度もあろうってのに、生来愚図な私は見事、首切り組に入っちまいました。(少し涙声)しょうがねぇ、退職金で食いつないで次の現場でも見つけようかとおもっていたら、なんと退職金は現物支給、これ御覧の報告書でやす。それだけでも馬鹿にしてやがるのに、旦那もおっしゃった通り、この発掘調査報告書には書名・奥付に加えて考察すら入っちゃいねえ。それと言うのも調査員の先生が締め切りを守らねえからなんで、こいつあ納期に間に合わすためにとりあえずの試しと刷った奴を後で紙代だけ出して増刷りしてもらったってえ品物なんでやす。それでも、向こうに言わせりゃ「書名の入った物をそこらへんで安く売られた日には、うちの評判が落ちる。まあ、名前が入っていないとは言え中身は同じだから、素晴らしい内容には変わりはない。発掘調査報告書は名前でなくて、中身で勝負だから、売れば客も喜んで買う筈だ」だって、笑わせるじゃありませんか。てめえが一番、名前にこだわってる癖に。(涙声)旦那、おねがいしやす。一つ買っておくんなさいな。家じゃ、かかあと二人の子が待ってるんで...。もう二日も薄い粥しかすすってねえんです。助けると思って、ねえ」

)「ふん、聞けば可哀想な話だなぁ。××遺跡発掘調査報告書なら丁度、見たかったところだし、ま買ってやってもいいんだが....。まあ、ちょっくら見してもらおうか。こう見えても俺ぁ、若え頃は県の埋文センターで補助員をやってた事があってな、いらねえ本かどうか、見てみりゃすぐに分かろうってもんだ。(ペラペラめくりながら)ほーっ、確かになかなかいいもんだ、こりゃあ。手前勝手な考察なんざなくったって、かえってすっきりしてらあ。そこらの分厚いばかりの本た大違いだ。うむ、気に入った。発掘の偉いさんが「発掘調査報告書は中身で勝負だ」と強気に出るのも無理は無えや。いいデキだ。時に、おめえさん、これ一冊いくらで売るつもりだ。」

)「5千円!と言いたいところですが、旦那が口開けだ、一冊3千円でお願いしやす。」

)「3千円......。正気か、おめえ。こんだけのもんなら1万円は下らねえぜ.......。よし、買った。3冊おくんねえ。2冊は、持って帰って知り合いに俺が売る。この品なら、8千円で売っても拝んで感謝されらぁ。(集まってきた客にむかって)おう、みんなぁ。この報告書は買って損しねえぜ、おいらが請け負う。別にこいつの商売の肩をもつ義理はさらさら無えが、この品でこの値段なら買わない法は無いね、俺に言わせりゃ。どうだい、一つ」


おそまつさまでした

本ネタはこちら(ニセ首相官邸HP 景気浮揚の為の施策の提案