結論を先に言えば、

我々は効率よく処理しなさいってことを言われてるわけです。 しょ、処理


文化庁は、
 
「埋蔵文化財は、国民共通の財産であると同時に、それぞれの地域の歴史と文化に根ざした歴史的遺産であり、その地域の歴史・文化環境を形作る重要な要素である」とし、その保護の中心として、「地域の埋蔵文化財の状況を適切に把握することのできる市町村」をあげ、21世紀の埋蔵文化財保護の中心となるべきは、文化財が所在する市町村そのものであると謳っています。

 青森県の現状を見てみると、県下、67市町村の内、約1/3の市町村にしか専門職員は配置されていません。市部に限っても、青森市・弘前市・八戸市・三沢市のように複数の専門職員を抱えているところがある一方で、十和田市・むつ市のように専門職員の配置が未だに皆無のところもあります。

相馬さんは、このように書いています(青森遺跡探訪超過激案内人日記)。

「青森県でも、これまでは、ややもすると市町村の体制作りが遅れたため、仕方なく県が前面に立って発掘調査の実施等の埋蔵文化財行政が行われてきました。そのため、一部の市町村では埋蔵文化財については県に任せておけばよいといった間違った認識を持つところまで現れ、本来自分のところで処理するべき仕事を県に回してきた市町村までありました。
 今後はこれを払拭する意味でも、市町村の方に意識改革をしてもらい、市町村主導の分布調査をどんどん実施していく必要があります。そのためにも、市町村専門職員の設置率約1/3を少しでも引き上げていく必要があります。」

しかし、自身も言うように、
市町村の専門職員増員原因のほとんどは大規模開発に伴うもの、公共事業に伴うもので、市町村の重要案件を実行に移すため、やむを得ず、泣く泣く専門職員を入れたのが実状。なのです(ちなみに私も埋蔵文化財処理のために、泣く泣くしょうがなく、置いてもらったひとりです)。

このように、
現実問題としては、すぐに専門職員を増員し、体制の整備と充実をはかれる市町村は少ないのですね。

このことから文化庁は、
 
「地方公共団体間の専門職員の相互派遣を積極的に進める」ことや、「一定の地域内に所在する市町村が共同して広域の発掘調査組織を設ける」こと(例えば、あったらいいな中部上北地区埋蔵文化財調査センター?)、さらには「民間調査関係組織の適切かつ効果的な導入」も視野にいれて、推進すべきと言います。

そんなわけで、
「専門職員がいないのであれば、文化庁も民活を推進しているのだから、民間の発掘会社に頼めばよいではないか」よいではないかという某市首長の発言も出てきたりします。

さて、みなさんが問題視するように、
「4.埋蔵文化財包蔵地の把握と周知について」では、
埋蔵文化財として取り扱うべき範囲が明確に示されました。
すなわち、そのすべてを対象とはしないことが明文化されたのです。
特に、遺物包含層のみの遺跡(そんな遺跡ってあるのだろうか)の場合は、
「遺物の出土状況に基づいて、一定の量の遺物がまとまって所在する区域を範囲とし、遺物が散漫に所在する区域は範囲から除外すること」としている。
 つまり、「遺物が少ししか出ないところは掘らなくてもオッケー!」と言うのです。

しかしなあ。
 調査者の実感としては、思っても見ないところから思っても見ないものが出るのが遺跡の常なんだけどなあ。むしろ、低湿地、水場遺構などのように、これまで調査のあまり行われていなかったところの調査を、やってみたら大きな成果がっ て側面もあるし。住居が出るってわかってるとこばっかり狙って掘って、住居ばっかり出したって生活の総体はわかんないのになあ。さらに言えば、環状列石の中央部、円形広場のように、なんにもないところに意味のある空間ってものもあるんだし。

ともあれその判断、
「埋蔵文化財包蔵地の所在・範囲の把握は、地域に密着して埋蔵文化財の状況を適切に把握することができる市町村教育委員会が行うこと」だそうです。

しかし、これは、
 市町村専門職員が遺跡をどんどん登録して、「掘らなくてもよい所、掘ってもよい所」の判断をどんどん決めちゃうことができるってこと? ってこと?

のであれば、

小谷地さん(はじめのhomepageが言うように、
ともすれば、埋蔵文化財保護の情熱に燃える
専門職員を配置した市町村が損をするという結果にもなりかねません。

あちこちで、こんな風に責められる専門職員の姿が目に浮かぶようです。

「あーチミチミ。要はチミのさじ加減なのじゃろう? チミが無いって書けばそれでいいのじゃろう? ところでチミはどこの職員なんだね? あえて話を難しくするつもりかね?」

「分布確認調査だとお! これ以上自分の首を絞めるようなことに予算をつけろってか?」

うう。ごめんなさい。

 市町村専門職員の設置率約1/3を少しでも引き上げていくそのカギは、専門職員を配置した市町村は得であると思ってもらうにはどうするか ってことなんでしょうね。 いったいどうすれば。

さて、それにしても、
「埋蔵文化財保護の具体的な内容に市町村ごとに大きな差違がある
この現状をどうしたらよいのでしょう。

文化庁は、
「埋蔵文化財保護の具体的な内容が市町村ごとに大きな差違を生ずることを避け、行政の客観化・標準化を進めるためには、各都道府県教育委員会において、保護の基本となる方針や標準を定め、それを基に管内の市町村を指導することが望ましい」と言うのですが。

県の指導如何、というところでしょうか。

ところで、
「開発事業との調整に関しては、建築物等の工作物や盛土の下であっても遺跡等を比較的良好な状態で残すことができ、調査のための期間や経費を節減できる場合には、記録保存のための発掘調査を合理的な範囲にとどめ、盛土等の扱いとすることを考慮することが必要である」という一文についてですが、

相馬さん曰く、
「盛土を最大限活用し、遺跡の保護と調査期間・経費の節減の両立に苦慮している様子が見て取れます。」

とあるように、盛土(もりど) = 遺跡保護層。
という考えがあるのですね。

三内円山や寺野東の盛土とは違い、これは現代のもりつちで遺跡を保護すると言うことです。

〇恒久的な盛土・埋立 盛土・埋立については、その施工後の状況が、必要な場合は発掘調査が可能なものかどうか等の観点で、個々の事業に即し、本発掘調査が必要か否かを定めることとする。ただし、各都道府県教育委員会の定める適用基準により、あらかじめ盛土等の厚さの標準を定めておくことができるものとする。この場合、現在の掘削工法の限界、従前の例等から、盛土等の厚さの標準は2〜3メートル程度が適当である。

のだそうです。

しかしまた、
 
工事による掘削が埋蔵文化財に直接及ばない場合や一時的に工作物を設置する場合であっても、工作物や盛土等の重さによって、地下の埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがある。
 このような場合には、本発掘調査を行うことが必要であるが、当該工事等が埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがあるかどうかは、埋蔵文化財が所在する地域ごとの地質・土壌条件と工事の規模等を勘案し、個々に判断せざるを得ないものである。しかしながら、同一地域の同規模の工事に対し、その判断に著しく差異が生じることは適切ではなく、各都道府県教育委員会において、具体的な工事の規模(盛土の厚さ等)や保護層の要否とその程度についての適用基準を定めることが望ましい。

遺跡保護層の重みで遺構が潰されるとしたらおかしなことですね。

なによりも、遺跡保護層(くどい?)によって保護された範囲がどこにどれぐらいあるのか、きちんと把握し続けていかないと、長い年月の後には予備知識なしに盛られた土(混濁した撹乱層)を見た調査者が、発掘の必要なしと判断してしまうことも起こり得ます(担当者が変わればわかんなくなっちゃう)。

まあ、いろいろむつかしいよねえ。


それにしても、
 我々に求められているのは埋蔵文化財の高度な処理能力だけなのでしょうか。

どうなの そのへん。 


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