本県の県立高等学校における農業、工業及び看護教育の在り方について
(答 申)
平成8年7月24日
青森県産業教育審議会
平成8年7月24日
青森県教育委員会 殿
青森県産業教育審議会
会長 沼 田 吉 蔵
本県の県立高等学校における農業、工業及び看護教育の在り方について(答申)
本県の県立高等学校における農業、工業及び看護教育の在り方について、当審議会は慎重に検討を重ねた結果、次のとおり結論を得ましたので、産業教育振興法第12条の規定に基づき、答申します。
目 次
はじめに
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1I 農業教育について
1 農業教育の現状と課題
−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3(1) 農業を取り巻く状況
(2) 農業教育の現状と課題
2 農業教育の在り方
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4(1) 教育内容の改善と充実
ア 活性化のための方策
イ 情報教育の充実
ウ 地域・産業界との連携
エ 大学進学対策
オ 高度技術化への対応
(2) 施設・設備の充実
(3) 教員研修の充実
II 工業教育について
1 工業教育の現状と課題
−−−−−−−−−−−−−−−−−− 7(1) 工業を取り巻く状況
(2) 工業教育の現状と課題
2 工業教育の在り方
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 8(1) 教育内容の改善と充実
ア 高度技術化への対応
イ 専攻科の設置
ウ 大学進学対策
エ 地域・産業界との連携
オ 情報教育の充実
(2) 施設・設備の充実
(3) 教員研修の充実
III 看護教育について
1 看護教育の現状と課題
−−−−−−−−−−−−−−−−−− 11(1) 看護を取り巻く状況
(2) 看護教育の現状と課題
2 看護教育の在り方
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 12(1) 教育内容の改善と充実
ア 高度医療技術への対応 イ 大学進学対策
(2) 施設・設備の充実
(3) 教員研修の充実
おわりに
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はじめに
本県の県立高等学校における農業、工業及び看護教育は、時代や社会の要請に対応して、産業の発展に貢献できる有為な人材の育成を図り、本県産業の発展に大きく貢献してきた。
本審議会は、これまでも諮問を受けて県立高等学校における農業、工業及び看護教育の在り方について答申してきた。
これらの答申を受けて、それぞれの産業教育において、学科改編、教育内容、教育方法、施設・設備等の改善・充実が進められてきたところである。
しかし、国内の産業構造は、情報化、国際化、サービス経済化の加速的進展に応じて変化し、就業構造も専門的・技術的職業の割合が増加するなどの変化を続けている。
これらの結果、産業界においては、これまで以上に専門的な知識・技術を持つ人材が求められるようになり、産業教育においても新たな対応が求められている。
また、社会の急速な変化に伴い、生徒の興味・関心は多様化し、職業観、勤労観、価値観等も変化している。高等学校への入学者には、明確な目的意識を有する生徒がいる反面、不本意感を抱いて入学してきている生徒がいることも否定できない現状である。また、中学校卒業者数の急激な減少など新たな事態が生じている。
このようなことから、国においては、高等学校の入学者選抜の改善、総合学科の設置、全日制課程における単位制高校の設置など、高等学校教育の改革を推進している。また、平成6年度からは新たな高等学校学習指導要領が実施され、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成や、個性を生かす教育が強調されている。
産業教育においても、文部省から「−スペシャリストへの道−職業教育の活性化方策に関する調査研究会議(最終報告)」や「産業の高度化に対応した実践的技術者の育成について(最終報告)−工業等に関する専攻科の拡充について−」が報告され、国の産業教育審議会においても「高等学校における産業教育に関する施設及び設備の基準の改訂について」答申が出されている。
本県においても、全国と同様に高等学校教育を取り巻く状況は変化しており、教育内容の改善・充実等を一層図っていくことが必要となってきている。
とりわけ、農業教育においては、一部の学科で志願者数が減少していることなどから活性化のための方策について、工業教育においては、専門的な知識や技術の高度化に対応した実践的技術者の育成のための方策について、看護教育においては、医療技術の高度化等に対応した教育内容の改善と充実の方策について、検討が求められている。さらに、生徒の興味・関心の多様化に対応するため、学科の枠にとらわれず幅広い分野から自由に科目を選択して学習できる環境の在り方について、検討することも求められている。
以上のことから、本審議会に農業、工業及び看護教育の在り方について諮問がなされた。
本審議会は、10回にわたる審議会を開催し検討を重ね、このたび「本県の県立高等学校における農業、工業及び看護教育の在り方について」審議した結果を、答申として次のとおり取りまとめた。
I 農業教育について
1 農業教育の現状と課題
(1) 農業を取り巻く状況
近年、農業を取り巻く状況は、農産物の輸入自由化を始めとする国際化の進展や、新食糧法のスタートに象徴されるように、急激な早さで変化してきている。また、地球規模での人口増加や異常気象等による食料不足が懸念されている。
このような中でわが国では、国内の農業生産を維持・拡大し、食料自給率を高めていくことを農業政策の基本方針として、生産基盤の整備やバイオテクノロジーなどの先端技術を用いた農業技術の革新を図りながら、国民の食料を安定的に供給することにしている。
また、本県では、青森県の基幹産業である農業について、労働力不足や高齢化などの問題を乗り越え、米、りんご、畜産に加えて野菜、花きなどの生産拡大と加工、販売分野などの流通体制を強化し、若者にとって魅力ある農業に発展させることが重要となっている。
このため、次代を担う青年就農者を確保しながら、経営感覚に優れた農業者を育成するとともに、農業経営の改善と生産流通体制の整備を促進して、農業・農村の活性化を図っていく必要がある。
(2) 農業教育の現状と課題
農業に関する学科は、昭和62年の産業教育審議会の答申を受けて、生物工学、食品化学、農業経済、生活科学等に再編され、活性化が行われたが、学科再編を実施しなかった農業科を始めとする自営者養成学科においては、志願倍率が依然低迷を続けている。このことから、自営者養成学科を中心とした活性化のための方策が必要である。
また、現在農業高校へは、農家の子弟のみならず、農家以外の子弟も農業に興味・関心を示し入学してくることから、生徒の実態に合わせた教育内容の改善が必要となっており、農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させることはもちろんのこと、食料資源等の確保、国土・自然環境の保全維持、関連産業の重要性など農業の意義や役割を理解させるとともに、主体的に農業の発展を図る能力と態度を育てることが必要である。
これまでも農業教育は、農業の担い手や農業関連産業に従事する人材を育成する役割を果たしてきた。
今後は、これまで以上に経営感覚に優れた農業の担い手を育成するとともに、社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成することが求められていることから、これに対応できる教育の推進が必要である。
2 農業教育の在り方
国際化、高度情報化、高度技術化が著しいなかで、農業を取り巻く状況は大きく変化している。農業教育においても、社会の変化に主体的に対応できる柔軟な人材を育成するとともに、高度で専門的な知識・技術を有する人材の育成が図られるよう教育内容を改善する必要がある。
また、進展する農業技術や経済社会の変化に対応できる学習が一層重要となることから、各専門分野についての基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、自ら学ぶ意欲を高揚させながら、問題解決能力や創造性豊かな生徒を育成することが大切である。さらには、個に応じた高度な知識や技術の習得とともに、専門性の深化を図るため上級学校に進学を希望する生徒への対応も必要である。
(1) 教育内容の改善と充実
ア 活性化のための方策
農業教育においては、生産技術の進展、生産形態の多様化及び流通経済の拡大などにより、第一次産業の農業の範囲を越えて、他産業の分野と重なる広範な分野にも広がってきている農業の現状から、企業経営能力を身につけた農業経営者を育成する教育を一層充実するとともに、国際的な農業情勢の変化にも柔軟に対応できる能力や、今後さらに進展する食品産業やレジャー産業など、新たな農業関連分野で活躍できる人材の育成を図る必要がある。
具体的な方策としては、地域の特性を生かした農業振興に対応した特色ある学校づくりを目指して、弾力的な教育課程の編成や選択制・コース制の導入等を積極的に図り、農業高校の活性化を推進していく必要がある。
また、時代に対応した教育内容の改善に伴い、学科の名称変更等も活性化するための手段として有効である。
イ 情報教育の充実
国際化、情報化に対応した農業教育が求められてきており、国際的感覚を有する人材育成のための情報通信システムの活用、農業高校と情報処理教育機関との連携による経営能力を養うための情報システム化など、農業情報処理教育を充実する必要がある。
ウ 地域・産業界との連携
地域の関連機関等と連携を深めながら、現場実習等の実施や、地域の先進的な農業経営者を招聘した外部講師の導入を図るなど、実践的経営感覚を持たせる指導の推進が必要である。
また、地域に開かれた農業高校を目指すため、学校農場が持つ教育力や資源を活用するなど、地域社会との連携を深めていく必要がある。
エ 大学進学対策
経済社会の変化や関連する技術等の高度化に対応するため、専門性を深化させる上級学校への進学希望者が増加している。
これに応えるため、進学指導の充実を図るとともに、これまで以上に入学定員の特別枠や、推薦入学枠を確保することなどについて関連の大学、大学校等に要望していく必要がある。
オ 高度技術化への対応
社会の変化に伴い、バイオテクノロジー技術、省力化技術及び施設利用技術等における先端技術化が進み、高度で専門的な知識・技術を有する人材が、これまで以上に求められており、これに対応した教育内容の改善と充実が必要である。
(2) 施設・設備の充実
農業技術の高度化に対応できるようにするため、関連する施設・設備の充実を図る必要がある。
また、新しい「高等学校における産業教育に関する施設及び設備の基準」による整備を早期に進める必要がある。
(3) 教員研修の充実
社会の変化に適切に対応した専門的な教育を行うために、指導力の向上に努めることが重要である。このため、教員に対して、長期的に産業界や大学等における研修を行う必要がある。
II 工業教育について
1 工業教育の現状と課題
(1) 工業を取り巻く状況
国際化の進展に伴い、生産コストの軽減化等のため、わが国の工業は生産基地を海外に移転していく傾向がある。今後、日本は特にアジアと連携した経済圏の中で、研究や開発など高度な知識・技術が必要とされる分野を担当することが期待されている。
また、高付加価値化された工業製品の製造や新分野の展開のため、企業では高い技術を持った人材を必要としており、企業内教育が強化されるとともに、以前にも増して専門の教育機関で教育を受けた即戦力となる人材を求めている。
本県の工業の動向を考える時、国際化、高度技術化など全国的な傾向とともに、本県の特性も考慮していく必要がある。
本県において、急速に成長している業種は情報サービス産業であるが、本県産業の体質強化、首都圏との情報格差の是正や生活の質の向上のために、その育成と振興が必要であり、情報化に対応できる技術者を育てることが重要である。
また、本県において基幹的な産業である建設業は、高等学校等卒業者の県内の産業別就職者数に占める割合が大きく、将来的にも人材の需要が見込まれることから、建設業関連の専門的な技術者を育てることが重要である。
(2) 工業教育の現状と課題
本県の工業に関する学科は、昭和62年の産業教育審議会の答申を受けて、学科再編が行われ、電子機械、情報技術、設備システム、材料技術の各学科が設置された。
また、学科全体としての志願倍率は、他の学科と比較して概ね高い状況で推移している。
産業界においては資格の積極的な評価をしていることから、各工業高校では高度な技術や上級の資格取得を重視している。現在、情報処理技術者や土木施工技術者など各学科の教育内容に応じた資格を生徒に取得させているが、各資格とも概ね高い合格率を上げている。しかし、産業界においてはさらに高度な資格が求められており、これらに対応した教育を行う体制が求められてきている。
工業に関する学科の進路状況としては就職が多いが、最近は上級学校への進学が増加する傾向にある。就職・進学ともに工業関係への進路選択の割合が高い。
大学進学に関しては、工業高校の教育課程に配慮した入学者選抜制度が求められており、また、卒業後の多様な進路を確保するためには、新たに工業高校での専門教育に接続した教育の場が求められている。
2 工業教育の在り方
本県における工業教育は、工業技術の高度化や国際化などの日本の工業界の動向や、情報サービス産業の成長や建設業の人材の需要などに見られる本県の特性に合わせて改善していくことが必要である。
また、社会の変化に伴い、高度の専門的な知識・技術を有する人材であるスペシャリストが、これまで以上に求められており、これに対応した教育内容の改善と充実が必要である。
さらに、研究や開発を進めるためには、独創性や、課題を発見し解決する能力の育成が重要であり、このためには、基礎的・基本的な知識・技術を着実に学習させる他に、幅広い視点や発想を大切にし、「ものづくり」を通した課題解決型の学習へ力点を置く必要がある。
(1) 教育内容の改善と充実
ア 高度技術化への対応
社会の変化や産業界から求められる知識・技術の水準を考慮し、将来の専門的技術者として必要な専門性の基礎・基本に重点を置くとともに、新素材やエレクトロニクスを活用するなど、高い付加価値の製品が要求される社会では、高度な技術が必要であり、これらの技術に対応した専門教育が、より幅広く実施できることが望まれる。
さらに、より高度な技術への興味・関心・意欲を育てることが必要であり、このためにはできるだけ産業界で実際に使われている先端技術等を、直接体験して学習することができるようにしなければならない。
イ 専攻科の設置
工業技術の高度化に伴い一層高度な技術を習得するためには、高校での学習に継続して学習する場が必要である。このため大学・専門学校など上級学校への進学の道があるが、本県の工業高校からは特に県外の専門学校への進学が多い。しかし、大学・専門学校では工業高校における専門教育と教育課程が接続していないことが多い。
そこで、県として工業に関する専攻科を設置し、継続的な専門教育により高度な技術を習得した人材を育成できるようにする必要がある。
青森県の工業の特性を考慮すれば、情報及び建設系の専攻科の設置が考えられるが、地域の特性、産業界の状況、専門学校等の事情などを充分検討して構想を立てる必要がある。
ウ 大学進学対策
工業高校から大学へ進学を希望する者が増加していることに対応するため、各学校においては選択科目を設置するなど、より弾力的な教育課程を編成するなどの工夫が望まれる。
また、一般的な入学者選抜とは別に、入学定員の特別枠や推薦入学枠を確保することなどについて関連する大学等に要望していく必要がある。
エ 地域・産業界との連携
工業高校への正しい理解を得るためには、地域の中学生やその保護者、受け入れ先の企業に対して、工業高校における教育に関する情報を発信していく必要がある。また、進路の多くが就職であることから、学校と企業の連携を大事にし、企業側の種々の情報を受信できるようにする必要がある。
具体的には、産業教育振興会と協力して現場実習を進めることなどが、効果的である。さらに、産業界において第一線で活躍している技術者を、外部講師として招聘し、生きた技術を直接生徒へ伝えるなどの工夫をする必要がある。
オ 情報教育の充実
情報化社会に対応できる人材育成のため、高等学校入学以前の早い時期から、情報化に対応するための教育が重要になっている。
コンピュータを単に操作できるだけではなく、コンピュータの機能等に関する基礎的・基本的な内容とともに、具体的な応用ソフトウェアに対応した技術や、インターネットによる情報通信等を活用できる技術などを、習得させる必要がある。
また、情報処理教育機関等を一層活用して、情報教育を進めていくことが望ましい。
(2) 施設・設備の充実
教育内容の改善・充実を実現していくためには、施設・設備の充実が重要であり、高度技術に対応した整備を進める必要がある。
特に、工業に関する実務的な応用ソフトウェアの充実と、情報通信に関する技術として、インターネットを利用できる環境を、早急に整備する必要がある。
また、新しい「高等学校における産業教育に関する施設及び設備の基準」による整備を、早期に進める必要がある。
(3) 教員研修の充実
教育内容の改善・充実を実現していくための高度な技術や、新たな情報通信技術等に対応した教育を進めるためには、これらに対応した教員の研修を進める必要がある。
具体的な方法として、企業や、大学・研究所等への派遣研修が考えられるが、特に内地留学等長期的な派遣研修が効果的であると考えられる。
III 看護教育について
1 看護教育の現状と課題
(1) 看護を取り巻く状況
近年、医療技術の高度化、疾病構造の変化、高齢化の進行は著しく、それに伴い医療への関心と要望は多様化し、 看護を取り巻く状況は変化している。
本県でも、高齢者人口が急速に増加することが予想され、 人々の健康への関心や高齢になっても健康に暮らしたいという意識の高まりが見られる。また、訪問看護、在宅介護等のサービス提供の要請なども強く、医療をめぐる要望は変化してきている。さらに、看護従事者に対しては、看護技術の提供にとどまらず、患者への精神的支援など、専門性とともにより豊かな教養と人間愛を有することが求められている。
なお、医療技術の高度化や医療に対する社会の要望の変化を受けて、全国的に看護系大学の設置が進んでいる。本県においても、平成11年4月に県立保健医療大学(仮称)が開学される計画である。
(2) 看護教育の現状と課題
県立高等学校衛生看護科は、看護に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得し、人々の健康の保持増進に寄与し、地域保健医療に貢献することを目的として、4校にそれぞれ1学級設置されている。
県立高等学校衛生看護科の入学者選抜における志願倍率は高倍率で推移している。 また、 ほとんどの生徒は高等学校卒業後、 看護婦資格取得を目指し上級学校へ進学している。
県立高等学校衛生看護科においては、 医療の高度化、高齢化等、社会の要望に対応できる人材の育成という観点から、指導内容及び指導方法の充実を図る必要がある。また、進路指導の充実を図り、看護系大学及び短期大学へも進学できるようにする必要がある。
なお、県内の主要な進学先である県立青森高等看護学院臨床看護学部(二科)が、県立保健医療大学(仮称)設置に伴い廃止されることから、 県内進学先の確保を図る必要がある。
本県における看護従事者の中で、准看護婦として就業する者の占める割合は約半数で、全国平均とほぼ同じであるが、県立高等学校衛生看護科を卒業後、進学することなく准看護婦として就職する生徒はほとんどいない。
なお、 看護を取り巻く状況の変化や、 医療を取り巻く社会の要望の変化に伴って、 准看護婦制度の存続について各分野での論議が活発である。
2 看護教育の在り方
県立高等学校衛生看護科に入学する生徒は、看護婦を将来の職業として希望している。 しかし、 衛生看護科における3年間の学習では、医療技術の高度化や高齢化等、医療に対する社会の要望の変化に十分対応することが難しくなりつつある。このことから、衛生看護科卒業後の学習機会を確保するとともに、社会の要望や高度医療技術に対応する教育を推進するために、教員研修をさらに充実させ、指導内容及び指導方法の工夫を図る必要がある。
(1) 教育内容の改善と充実
ア 高度医療技術への対応
県立高等学校衛生看護科では、 医療技術の高度化、高齢化等、医療に対する社会の要望に対応するため、看護情報処理や看護臨床実習の充実を一層進める必要がある。
現在、衛生看護科においては、志願倍率が高倍率で推移しているものの、平成11年4月開学予定の県立保健医療大学(仮称)の設置に伴う衛生看護科の志願倍率の推移、卒業後の進路状況等に留意しながら、 衛生看護科の今後の在り方について、なお一層検討する必要がある。
また、 医療技術の高度化に対応するために、 県立高等学校衛生看護科における専攻科の設置も考えられるが、 専攻科については、 准看護婦制度についての各分野での論議、 志願倍率の推移及び県立保健医療大学(仮称)の設置による本県の看護婦需給バランス等を勘案し、 なお一層検討する必要がある。
なお、 高等学校卒業後、准看護婦として従事する生徒がほとんどいないこと、 看護婦資格を取得するためほとんどの生徒が上級学校へ進学すること、 高齢者人口の増加に伴う社会の要望に対応できる人材育成を図る必要があることなどから、福祉科等他の学科への改編についても視野に入れる必要がある。
イ 大学進学対策
医療技術の高度化や、医療に対する社会の要望の変化に対応した人材育成を図るため、 生徒の学力の向上を図り、 看護系大学及び短期大学等に進学できるよう、 進路指導を充実させる必要がある。
また、 青森県の保健医療を支える人材の育成を目的として設置されている国立弘前大学医療技術短期大学部看護学科や県立保健医療大学(仮称)に対して、 衛生看護科からの推薦入学枠の確保を要望するとともに、 入試科目に専門科目の選択ができるよう要望する必要がある。
(2) 施設・設備の充実
医療技術の高度化、 高齢化等、社会の要望に対応するための看護用機器の整備をする必要がある。
また、 新しい「高等学校における産業教育に関する施設及び設備の基準」による整備を、早期に進める必要がある。
(3) 教員研修の充実
医療の高度化、高齢化に対応した教育内容の充実のため、指導内容及び指導方法の改善を図るとともに教員の資質向上を図る必要がある。
大学等における内地留学等長期的な派遣研修により、社会の要望に対応した看護知識・技術の習得や、 高齢化の進行に対応した医療全般にわたる患者及び家族への精神的支援、訪問看護、在宅介護等の充実を図るための研修が必要である。
おわりに
この答申では、まず農業、工業及び看護について、それぞれの産業を「取り巻く状況」と、教育が置かれている「現状と課題」を述べた。次に、それぞれの教育について、「教育内容の改善と充実」、「施設・設備の充実」及び「教員研修の充実」の三項目にわたり改善の方向を述べた。
農業においては「活性化のための方策」について、工業においては「専攻科の設置」について、看護においては「高度医療技術への対応」について、特に重点的に述べた。
また、平成8年度から県立七戸高等学校に「総合学科」が設置され、従来の学科以外に新たな産業教育の場が広がった。「総合学科」は学科の枠にとらわれず、幅広い分野から自由に科目を選択して学習できる環境として設けられたものであり、生徒の多様化に応じた新しいタイプの高等学校である。この意味から「総合学科」は県内の地域バランスを考慮しながら、さらに設置していく必要がある。
なお、生徒の減少期を迎え、志願倍率の推移を踏まえながら、専門高校の適正配置も考えていく必要がある。
県教育委員会においては、産業教育を一層充実するため、本答申を踏まえ、各方面の理解と協力を得ながら諸施策を推進されることを願うものである。