老人性痴呆疾患治療病棟の到達  PartII

2000 1213

藤代健生病院大会

1.はじめに

 今年 9月の病院大会では、我が国の高齢者人口の動向、 65才以上に占める75 才以上の高齢者人口の増加、更には全国水準を超える高齢者の増大率、青森県内の老人性痴呆疾患医療の実態、その中での当院老人性痴呆疾患治療病棟への期待の増大と津軽地域での役割などを明らかにしました。また、痴呆の種別や当院で対応する痴呆、痴呆患者への基本的な対応、地域や関係機関との連携などの課題について明らかにしました。

 今病院大会の獲得目標は、(1)あらためて当院の青森県内や津軽地域で果たしてきた役割を全職員で認識を一致させ、(2)青森県内で初めての老人性痴呆疾患治療病棟の立ち上げを成功させること、(3)体制について全職員で意思統一していきます。細かな課題は残されていますが、全職員の英知を結集して成功させたいと考えています。
 

2.新病棟の名称と医療構想

 新病棟のスローガン

  “生活とリハビリの空間を

 医療活動の柱は、(1) 食事、(2)排泄、(3)入浴、(4) 睡眠の4つの柱からなり、痴呆を誰もがなりえる一つの障害ととらえることが重要です。したがって患者対応では医療・看護中心から、患者の残された健康な能力を介護中心のアプローチで改善させ、一定の生活を送れることを目標とします。

 正式名称は、 4病棟 とします。愛称は公募により“オアシス” とします。

 新しい病棟を立ち上げるために、様々な困難が発生すると思われますが、その都度スタッフ間でよく論議し、医局会や婦長会議、各病棟にたえずフィードバックし、病院全体の中で「愛される病棟」を目指します。各病棟、医師、スタッフとの連携を十分にはかり、「特殊な病棟」にならないように努めていきます。

 同時に、医療活動の面では多くの研究的・実験的側面を抱えての「未知への出発」になります。例えば、診断、痴呆へのリハビリテーションのあり方、薬物投与のあり方、失禁対策、高齢者の心理の理解とその対応など、未知の問題が山積している分野であり、先入観や前例にとらわれず、安全に配慮しつつ様々な実験的試みが求められます。

 また、地域で唯一の痴呆治療病棟であることから、地域での連携のネットワークを拡げて対応していくことが求められます。さらに、当院ではじめての「まるめ」の診療報酬であり、薬品などの原価計算を含む医療経済学的側面に留意し、収入/支出のバランスにたえず気配りして運営していきます。

 最後に、痴呆をもつ高齢者といえども人権や細かな心配りが症状を左右します。「乙女心は 60才になっても死なず」です。入院形態は本人が拒否しない限り任意入院とします。
 

3.新病棟での医師の関わり

 油川医師 (現油川医院院長)2001 11 日付けで採用し、新病棟を担当していただきます。

(1)医師の週課

 20011月から 4月までとし、4 月に新任医師を迎えた段階で再検討します。

i ) 油川医師には内科的な検査・処置・診察・判断・投薬などを、医長が選んだ患者についてお願いします。自主的判断でそれ以外の必要な患者を見つけて診察などしていただくようにします。スタッフ会議には定期的に参加していただきます。また、「巡回」「声がけ」などと共に週 1回〜2 回、午後のレクの時間に囲碁・将棋コーナーを開設していただく。その他、時間のある限りデイルームで患者さんと、囲碁・将棋、その他のゲームなどで一緒に過ごしてもらうようにします。

ii) 病棟医長は蟻塚医師が努め、他の病棟の担当患者は 2病棟だけとします。金曜日午後の「もの忘れ外来」は行いますが、同日の外来責任担当は行わない方向で医局会で検討していきます。

iii) 医師の週課表
 

  蟻塚医師    油川医師 備考
午前 午後 午前 午後  
申し送り/外来・処方 巡回/常務会 巡回 囲碁・将棋  
申し送り/回診 回診・第 3HC 巡回    
申し送り/外来 外来/巡回 巡回    
申し送り/外来 病棟/巡回/カンファ 巡回 カンファ 運営会議
申し送り/他病棟回診 もの忘れ外来/巡回 巡回 往診  
申し送り/巡回 施設訪問 巡回    

(2)回診

i ) これまでの「精神療法モデル」の回診ではなく、毎日顔を見ることを重点とした「回診及び巡回」を行います。

ii) 定期的なスタッフ会議で患者に関する情報を集め、対処策を検討していきます。この点が新病棟の運営の中心になります。

(3)薬物療法

) 短期の処方でおさまる人もいれば、全く投薬しないですむ患者さんもいると予想されます。既存の脳代謝賦活剤の投与は経済的損失という面も含めた理由から行わないようにします。投薬回数も 1回の人もいれば隔日服薬の人、休薬日をもうける人も出てくると予想されます。医師との事前の打ち合わせを前提として「その日の様子によって服薬を止める」こともあり得ます。患者さんの状態によって投薬方法が異なる、「患者の都合」にあわせた柔軟な投薬が可能になる病棟を目指します。

ii) 誤投薬を防ぐための対策を検討します。

iii) 向精神薬は処方内容が適切かどうか判定するために、入院当初は2or3日分程度の短期投与を原則とします。

iv) 消化器や循環器系などの副作用に留意していくことが求められます。

) インフルエンザ

 痴呆疾患で入院された患者さんには、ワクチン摂取を勧めていきます。

(4)身体合併症

) 「まるめ」の診療報酬の病棟なので、その病状と治療内容、予想される治療期間によっては一般病棟に転棟して治療をすることも発生する可能性があります。

ii) 重篤な場合には健生病院内科の安田先生を窓口として内科にお願いしていきます。

iii) 緊急の場合には医師がXPを撮影します。

(5)緊急時の対応

 休日や時間外に緊急事態が発生した際には、日当直医の判断の元で病棟医長の携帯電話に連絡し速やかに対応していきます。
 

4.新病棟の体制・勤務形態など

(1)体制
 医師2 名;蟻塚、油川医師
 作業療法士;工藤主任、ソーシャルワーカー;北谷
 看護婦;12(2001 4月以降11)
 介護福祉士;8(2001 4月以降9)
 助手;9
  助手の内訳は、ヘルパー 21 名、准看学生5名、その他 3名です。

〈スタッフ名〉
木村 英子( 婦長)
木村美智子( 主任)
成田 美秀( 主任補佐)
佐々木友子( 主任補佐)  (以下省略)
 

(2)勤務形態

  時間 看護婦 CW 助手 備考
早出 7:0012:00     2  
日勤 8:3016:40 3 34    
遅出 13:0020:00     2 学生は 17:3020:00
準夜 16:300:40 1 1    
深夜 0:308:40 1 1    
 遅出終了時間については、患者数・患者層を見ながら検討していきます。
 

(3)機能別看護

 日勤を2 チームに分け機能別看護とします。チームリーダーは各チームの看護婦が担い、朝食・夕食時の生活支援業務にはパート職員の時差出勤で対応します。尚、土・日・祭日も朝食・夕食時は 4名体制とします。

(4)日勤業務

 A チーム 個室中心に対応  リーダー1
 B チーム 大部屋中心に対応 リーダー1
 チーム内の患者さんの変化や評価は、各チームリーダーに集中し、特記事項の記録は関わった人が記載するようにします。

(5)デイルーム係

 作業療法士に協力して生活支援業務をおこないます。
 生活機能訓練( おはようタイム)
 あいさつ、見当識づけ、 1日の予定を伝え、ストレッチ体操で身体と気分をほぐしていきます。水分補給、おしぼりたたみ、トイレ誘導、移動介助、食事準備、おやつ配り、訓練記録、評価などの内容にします。

(6)入浴係

 浴室内2(早出 1名、日勤者1)、脱衣室介助 23(早出 1名、日勤者23名・ 1名は処置係が兼ねます) 。着衣、整髪、爪切り、耳掃除、処置は脱衣室でおこないます。

(7)リーダー

 チーム内患者の変化をとらえ、検温・血圧を測定し身体状況を把握していきます。

(8)処置係

 処置、検査の実施、入浴係を兼務します。

(9)詰所係

 夜間常備薬の管理、物品請求、薬品請求、患者対応。

(10)準夜勤務

 遅出勤務者と協力して患者の看護・介護、生活支援活動をおこないます。
 A チーム 看護婦 医師の指示項目の実施、ケア方針に沿った援助をおこないます。
 B チーム CW  ケア方針に沿った援助をおこないます。

(11)深夜勤務

 早出勤務者と協力して患者の看護・介護、生活支援活動をおこないます。
 A チーム 看護婦 医師の指示項目の実施、ケア方針に沿った援助をおこないます。
 B チーム CW  ケア方針に沿った援助をおこないます。
 

5.日課表
 

  スケジュール デイルーム
8:30 情報交換 (チーム毎) 、ミニカンファ 見守り
9:00 生活機能訓練 (おはようタイム) 全員参加

朝のあいさつ、体操、 1日のスケジュール、シーツ交換

生活機能訓練

プログラム

 おしぼりたたみ

 カレンダー作り

 お絵かき

トイレ誘導、排泄ケア

9:20 血圧測定・バイタルチェック

検査・処置

入浴、爪切り、耳掃除、髭剃り、トイレ誘導、排泄ケア

10:00 水分補給
11:30 昼食

与薬、口腔ケア

12:00 トイレ誘導、自室での休養者は自室誘導 見守り
13:00 ウオーキング

シーツ交換 (午前残り分)

トイレ誘導・排泄ケア

生活機能訓練

 風船バレー

 うた

 その他のゲーム

13:15 入浴、爪切り、耳掃除、髭剃り
15:00 おやつ 記録、情報収集
16:00 トイレ誘導、排泄ケア
16:30 申し送り、準夜各チームリーダー情報収集 見守り
18:00 夕食、食事ケア

食事介助、摂取量チェック、後片づけ

服薬介助、義歯預かり

 
18:30 準夜勤者 (看護婦) 夕食

イブニングタイム

テレビ鑑賞、おしゃべり、簡単なゲーム
19:00 準夜勤者 (介護福祉士) 夕食

トイレ誘導し、自力で行為できる患者には行為を促す

19:30 バイタルチェック

排泄誘導、おしめ交換

 
20:00 就床前薬与薬、医師指示の実施  
20:30 部屋誘導・患者数確認

当直医巡回

 隔離・拘束者の巡回、発熱者状態悪化者の報告・診察依頼

診察予定者のカルテ準備

 
21:00 消灯  就床援助

 フローシートへの記入、ケア記録

 
22:00

5:30

見回り

不眠者の排泄援助などケア計画に沿った援助、ペースにあわせた援助

 
0:00 看護・介護記録、申し送り準備  
0:30 深夜への申し送り  
5:30 排泄誘導・おむつ交換

更衣・洗面を促す

 
6:30 デイルームへ誘導、食事の準備  
7:00 朝食 早出勤務者の協力を得る  

※規定では生活機能訓練を1日4時間おこなうことになっています。患者さんの入浴は週2回とします。
 

6.研修関係

(1)講演会

 講師;藤田文博医師 (ひだまりの里診療部長)
 12/4()14:00 15:30 視聴覚室 全職員対象(31 名参加)
      15:4016:30  痴呆棟のリーダー集団との懇談会

(2)法人間ローテート者の研修
 長慶苑 12/428  5

(3)稜北病院療養病棟
 木村美智子主任 12/78(6日前泊 )

(4)ケアワーカー
 現行通り

(5)ソーシャルワーカー・作業療法士の研修
 検討中です。

 

7.新病棟の患者数の確保

 県庁国保援護課や社会保険事務局との関係で結論を出せないでいますが、基本的には立ち上げを成功させていくために、地域の関係施設や生協組合員からの紹介など継続して取り組みます。また、「もの忘れ外来」について、地元マスコミにお知らせして宣伝していきます。

 現在の到達点は以下の通りです。

 痴呆疾患患者さんの入院予約は 3名です。開設間近になると入院希望者が増えてくると予想していますが、開設時の落ち込みを出来るだけ少なくするために、既存の 3個病棟から15 名移動します。対象となる患者さんは、65 才以上で症状が安定した人とします。移動日は20011 4日とします。痴呆患者さんの入院状況を見ながら、第 2弾の移動をするか否か1 月末〜2月上旬に判断していきます。

 痴呆患者さんの新規入院は 19 日から受け入れを開始しますが、緊急を要するケースについては随時受け入れていきます。

 また、痴呆棟は診療報酬上マルメとなるため、長期点滴の必要な患者さんや重度の内科合併症の患者さんは、既存の病棟もしくは健生病院にお願いしていきます。
 

8.治療単価

 社会保険事務局並びに国保援護課との話し合いをすすめ確定していきますが、包括となっており一人当たりの平均では 14,000( ひだまりの里の実績・作業療法は請求できていない) 位と考えられます。
 

9.その他

(1)ユニホーム
 看護スタッフについては職種に関係なく統一します。

(2)ネームプレート
 顔写真入りで首から下げる。既存のネームプレートは、ピンの刺傷事故につながる可能性があるためです。

(3)更衣室及び仮眠室
 現仮眠室内のロッカーの配置を変更して、全職員分のロッカーを確保し、現行通り仮眠室と併用していきます。

(4)駐車場
 20016月頃をめどに、水田借用地に 20数台分駐車場として使用します。

(5)環境整備
 2001 年春から既存病棟と新病棟の間に花壇を整備したり、立木を植えたりします。生協組合員の「ふじの会」の協力ですすめていきます。

(6)ボランティア委員会 (仮称)
 2001 年春をめどに委員会を立ち上げ機能させていきます。

(7)小遣い銭・洗濯物
 洗濯物については、東急ドライと話し合いをすすめています。小遣い銭については、看護の意見を聞きながら早急に検討します。

(8)大まかな日程
) 施主検査 20 13:00
ii) 引き渡し 21 14:00
iii) 物品搬入 22日 ベット
      23 日 ロッカー(法人に応援を要請しています )
      24 日 ステーション内の備品など すべて終了させ不足分は25 日以降対応していきます。
      25or26日 医務薬務課の検査

以上



(以上は、2000.12.13 当院の病院大会で確認されたものです。 12.19 html形式に変換してスタッフ名は省略してアップしました)
(2001.3.15 機種依存文字で読めない場合のあるローマ数字をアルファベット表記に修正しました)