1.はじめに
わが国では平均寿命の延長と出生率の低下などにより、老年人口の比率は年々増大し、それとともに老年期痴呆を有する者が増加してきています。老年期痴呆の出現率は65歳以上の人口の5.1%程度と見られるが、他方で核家族化が進み、老人を家族の中で支えて行く力が低下し、地域の共同体意識も薄らぎ、痴呆患者を抱える家族からの治療を受けたいというニーズはますます増大するものと思われます。
青森県における高齢化率は、'95(平成7)年の国勢調査で16%に達し、'10(平成22)年には26.1%になると予測されています。65才以上の人口に占める75才以上の高齢者の割合が増加傾向にあり、老人性痴呆疾患患者に対する治療及び介護の需要は、全国水準を超えて増大するものと思われます。青森県では、医療的対応を必要とする老人性痴呆疾患の急性期医療をおこなう老人性痴呆疾患治療病棟がありません。また津軽地域には精神病院の機能を併設した老人性痴呆疾患療養病棟もありません。津軽地域の老人保健施設及び特別養護老人ホームでも、老人性痴呆疾患を治療する精神病院の役割についての期待には大きなものがあります。
老人性痴呆疾患治療病棟は、国のすすめている事業です。一つの県に最低一つはつくろうという事業で、県庁の許可さらに国の認可を受けてすすめています。
2.痴呆治療の現状
痴呆患者に対しては、彼らのペースに合わせて日常生活を過ごさせ、「なじみの人間関係」(テーブル・メイト)づくりを大切にすることが、痴呆の悪化や改善にとっても必要と言われています。
高齢化社会を迎え老人性痴呆に対して、専門的な治療を行う施設を建設していこうと国が方針を掲げました。全国的には10年ほど前から「老人性痴呆疾患治療病棟」のような専門施設が建設され、治療がおこなわれるようになりました。
一言で痴呆と言っても、
(1)血管性;脳血管性痴呆
(2)変性性;アルツハイマー病、ピック病
(3)外傷性;慢性硬膜下血腫
(4)腫瘍性;髄膜腫瘍、脳腫瘍
(5)感染性;クロイツフェルトヤコブ病、AIDS
(6)代謝・内分泌性;粘液水腫、B1・B12欠乏症
(7)その他;正常圧水頭症
などがあります。
CTスキャンによって脳の写真を撮り、はじめて痴呆の原因が分かることがあります。(当病棟では主に 1,2 による痴呆を扱います)
3.老人性痴呆疾患治療病棟開設に伴う病院周辺の変化
工事期間中ならびに病棟建設後も町会のみなさんにできるだけ迷惑をかけないようにしたいと考えています。
工期は、8/8日起工式、8/20日以降から工事がはじまり、12/20日終了予定です。
1)旧神社地の利用方法
木を切り、官地に橋を架け工事用大型車の出入りで使用したいと考えています。
工事終了後は、患者さんの緊急避難用通路として使用します。また、町内の方々の中で隣接する家にはフェンスを設置したいと考えています。
2)借用した水田の利用方法
職員の駐車場、患者さんのレクリェーション(主にゲートボール)用として利用したいと考えています。
隣接する家にはフェンスを設置したいと考えています。
4.老人性痴呆疾患治療病棟の運営
1)病棟のスローガン
「近代医学を超えて、生活とリハビリの空間を」
医療活動の柱は、1)食事、2)排泄、3)入浴、4)睡眠の4つの柱からなり、痴呆を誰もがなりえる一つの障害ととらえてすすめます。したがって患者さんへの対応では医療・看護中心から、患者の残された健康な能力を介護中心のアプローチで一定の生活を送れることを目標とします。
2)具体的な運営
病棟は閉鎖病棟です。
痴呆疾患の患者さんの多くは、重度になると自分がどこにいるのか、どうやって家に帰るのか分からなくなります。また、排泄障害が多く見られ、ひどいケースでは便を家の壁に塗ったりします。こういうケースでも、車椅子での散歩やデイルームで他者の話を聞いているだけで刺激になり、便を塗ったりすることがなくなったとの報告があります。
3)規則正しい生活
入院生活では規則正しい生活を送り、患者さんの残された健康な機能を回復させ改善してゆくことに主眼をおいた治療を行います。
そのために多くの職員を配置して運営します。また、散歩や患者さんとの話し相手など、町会のみなさんや津軽保健生協の組合員さんからボランティアを募集したいと考えております。
4)専門外来の開設
2000年10月から「物忘れ外来(仮称)」をスタートします。
5)入院期間
入院期間は概ね3ヶ月間です。