胃腸の部屋

<4.Fitz−Hugh−Curtis症候群>

1.Fitz−Hugh−Curtis症候群とは

性行為感染症には,梅毒,淋菌,エイズなどがあります。クラミジア感染症も性行為感染症のひとつですが,クラミジア感染症は,婦人科,泌尿器科の症状が主ですので,婦人科,泌尿器科で扱う事の多い病気です。 しかし,まれに右季肋部痛,心窩部痛の症状で発病することがあります。それが,Fitz−Hugh−Curtis症候群です。
Fitz−Hugh−Curtis症候群とは,淋菌,クラミジアによって引き起こされる肝周囲炎で,若い女性に見られる病気です。現在は,クラミジアによって引き起こされるのがほとんどです。

2.症状

1.症状
症状は,右季肋部から心窩部にかけての強い痛みです。呼吸性に痛みが増強して,深呼吸できない場合もあります。
2.発熱
微熱から38度以上の発熱がみられますが,発熱のない場合もあります。
3.婦人科的症状,所見
帯下の増量という婦人科的な症状がある場合もありますが,まるきり異常がない場合も多いです。 婦人科的検査してもクラミジア抗原が検出されない場合もあります。
ですから,婦人科的視内診所見に異常がないからと言って,本疾患を否定することはできません。

2.原因

クラミジアにより子宮頸管炎が起こり,子宮付属器炎,骨盤腹膜炎と腹腔内に感染が広がり,さらに肝臓まで感染が広がり肝周囲炎を起こすと考えられています。
子宮付属器炎,骨盤腹膜炎をおこしますので,下腹部痛に引き続いて,上腹部痛をおこすこともあります。しかし,下腹部や婦人科的な症状がない場合も多いです。
肝周囲炎を起こすと肝周囲の皮膜と腹膜に線維素性炎症を起こして癒着を起こして,腹痛の原因となります。

3.検査と診断

1.炎症所見
白血球増多,CRP陽性,赤沈亢進の炎症所見が見られます。CRP陽性は全例みられるものの,白血球増多は,約半数にしか見られません。
2.クラミジア抗体
クラミジア・トラコマチス抗体の上昇がこの疾患を疑う所見です。クラミジアIgA抗体は,炎症とともに上昇して炎症が治まるとIgA抗体は陰性になります。
3.腹腔鏡検査
確定診断は,腹腔鏡などで肝被膜の腹膜との癒着を証明するか病変の肝被膜クラミジアを分離するかです。

腹腔鏡とは,お腹に穴を開けてお腹の中をみる検査です。簡単な検査というわけでもありませんので,右季肋部痛,心窩部痛を訴える若い女性全員に腹腔鏡検査するというわけにはいきません。

4.診断
診断には,腹腔鏡検査が必要です。しかし,下記の条件に当てはまればFitz−Hugh−Curtis症候群と診断して治療していいでしょう。
1.特徴的な腹痛がある。
2.血液検査,腹部エコー,胃内視鏡などの検査で肝臓,胆嚢,膵臓,胃などの疾患がない事が確認された。
3.炎症がありクラミジアIgA抗体が陽性。

急性期のクラミジアIgA抗体を測定することが診断のポイントになります。

4.治療

クラミジアに効果のある抗生物質を約2週間使用します。効果のある抗生物質はテトラサイクリン系,マクロライド系,ニューキノロン系です。一般に使われる ペニシリン系,セフェム系抗生物質では,効果ありません。症状が消えない場合は,腹腔鏡を使って癒着切離する必要があります。



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